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ステロイドのせいで身長が伸びる?伸びない?論文を用いて解説

[2022.08.08]

 

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ステロイドの薬品を使うと、身長が伸びないのではないか?と聞かれることがあります。

現在、ステロイドを服用されている方、ステロイドの服用を考えている方は気になる内容だと思います。

 

今回はそういったステロイドと身長に関する疑問に答えていく内容となっています。

 ステロイドを使うと身長が伸びないのかどうか気になる方はぜひご覧ください。

 

 この記事は身長先生のYouTubeチャンネル内の動画「【悲報】ステロイドで身長が伸びなくなる説について解説【身長先生に聞け!41】」の内容をもとに作成しています。

 

 

 

 

 

ステロイドとは

 

皆さんステロイドについてあまりイメージが湧かない方もいらっしゃると思うので、簡単に説明していきます。 

 

ステロイドというのは、いわゆるホルモンとかです。 

そういったタイプのお薬です。 

例えば世の中に強い薬と弱い薬があるとしたら、ステロイドは強い薬に該当するタイプになります。 

ステロイドとは、良く言えばよく効くという表現もでき、逆に言うと非常に副作用にも注意が必要だと言われるようなタイプのお薬になります。 

 

弱いお薬のイメージでいうと、少し簡単な保湿をするようなタイプのお薬や、副作用が少ないタイプのお薬ですね。 

それに対してステロイドは注意が必要です。 

その分だけ効果が高くて色んな病気で使用されるわけです。 

 

そのステロイドが身長に悪影響を及ぼすかもしれない、というようにしばし言われるわけなんですね。 

実際にステロイドはどれぐらい影響があるのかということを、頂いた質問に答えつつ解説していきます。 

 

Q1.ステロイドは身長に悪影響を及ぼすのか?

 

1人目 

僕は病気の影響でステロイドを飲んでおり、成長障害というものがありました。 

現在は14際11ヶ月で身長は167cmです。 

脇毛は生えてなく陰毛は生えています。 

去年は7.5cm伸びました。 

一昨年は4cmでした。 

 

父の身長は190cm,母の身長は173cm、妹が12歳6ヶ月で165cmです。 

これから伸びは期待できますか? 

また一般的に言うとどのくらい伸びますか? 

小5〜中2の5月まで中々の量のステロイドを服用していました。 

 

 

2人目 

喘息や喘息の治療薬(ステロイド)は身長の伸びにどの程度影響しますか? 

息子は3歳の頃、喘息の大発作で2回入院し、その後6歳までステロイド薬の吸入(パルミコート0.25を1日1回〜2回)をしていました。 

 

喘息は寛解しましたが、兄弟の中でこの子だけ身長が伸び悩み、4歳〜11歳現在mでずっと−1SDの線を這っています。 

病気や薬の影響もあるのでしょうか? 

病気をした影響があるとしたらこれから巻き返すことは可能でしょうか? 

 

A.

 

まずポイントになってくるのは、ステロイドは危険だから使用するなと言いたいわけではなくて、そういった可能性もあるでしょう、みたいな理解でいいと思います。 

当然皆さん病気で飲むわけですから(もしくは吸引する)、そういった場合は病気の治療が優先ですので、まずは医師の指示に従ってください。 

そういった中で、どういった影響があるか見ていきましょう。 

 

論文を解説Part1

 

まず1つ目の論文です。 

Impact of Inhaled Corticosteroids on Growth in Children with Asthma Systematic Review and Meta-Analysis 

 引用元:PLOS ONE

つまり、たくさんの論文を見てくださった論文です。 

喘息に対して吸引ステロイドを使った場合に、それが成長にどれくらい影響があるのか、それをたくさんの論文を見て調べましたよという論文が2015年にPLoS Oneという論文に出たそうです。 

Yoon先生が書いてくださっていて、Norwich Medical School United Kingdomということで、イギリスにある大学の医学部で2015年に発表された論文になります。 

 

この論文の冒頭として書いてあるところが結構面白いのですが、 

Long-term inhaled corticosteroids may reduce growth velcity and final height og children with asthma 

ということで、吸引ステロイドを使うと身長が低くなるというように、確定事象として書かれてしまっています。 

実際にそれが何cm程度影響があるのか、ということを検討した論文だそうです。 

2013年にすごいいっぱい論文を調べてくれたそうで、1882個の論文がヒットしてその中から何十個も論文を見てきて、すごく参考になると思います。 

 

当然1個の論文よりも2個の論文で証明されていれば、証明度が高いわけです。 

2個の論文よりも10個の論文ということで、複数の論文を検証するということはすごく素晴らしいことですので、信頼性は比較的高い内容だという表現になってきます。 

 

今回のポイントとしては、吸入ステロイドを喘息に対して12ヶ月以上使った人を対象として調べていったそうです。 

そうすると、最終的に大体1cm程度身長が低くなったそうです。 

 

英国の平均身長が男性175cm・女性161cmですので、日本人の大体プラス3cmぐらいのデータですね。 

実際イギリス人の方とか、逆にイギリスに行ってみるともっと高いような印象がありますので、こういうデータを見るといつも不思議に思うんですが、日本人の平均的な身長より2〜3cm、多く見積もっても4cmぐらいしか変わらないのですが、そういった大人に対して大体1cm程度低いデータが出てきたということです。 

 

さらに比率で表すと0.7%ということで、比率換算でいくと日本人でもほとんど同じで1cm程度の減弱という表現になります。 

ちょっと残念なんですけれども、いろいろな論文を見てみると身長が低くなることは確定になります。 

 

ただここで注意しなくちゃいけないのが、吸入ステロイドの治療は絶対やった方がいいと思います。 

どうしてかと言うと、こういった論文は出ないのですが、あると仮定します。 

喘息を未治療の子・喘息を治療した子、こういった比較をすると未治療の子が多分身長が低くなると思います。 

常にゼェゼェ言っていて酸素を取り入れるのを上手くいかないような状況で生活していると、当然身長は低くなります。 

 

未治療と比べると、多分ちゃんと治療した方が最終身長が高くなるはずなんですね。 

なので治療はやった方がいいと思います。 

ただもちろん喘息にならない方がいいというところですが、我々が選べるものではなくて、そこに少し神様のさじ加減というとこもあるのかなというところです。 

ある意味喘息だと仕方なく受け入れてしまう方がいいかもしれません。 

特にしっかりと治療して、できるだけ治療期間を短くしてあげるというところが、恐らく重要なポイントになってくると思います。 

 

1人目の質問者さんの答え

 

今回の1人目の質問者さんですが、病気をしてその時期に成長伸び率が悪かった。 

特に今回の場合だと恐らく発作がすごく強い状態ということで、なかなか苦労されたんだと思います。 

身長伸び率が低くなってしまったという見解だと思いますが、そういった意味だとステロイドの影響もあるし、病気の影響もあるのだと思います。 

そういったところもご自身もご理解いただいているかなと思います。 

 

それから巻き返すことが可能かというところに関して言うと、ある程度巻き返すことは可能だと思います。 

過去にもそういったような状況というのはしばし見受けられるわけです。 

例えばむちゃくちゃスポーツをやりまくっていて、おそらく栄養が少し欠乏状態だった子とかが、栄養がパーンと入ってくると一気にキャッチアップするというのは有り得るというか、何度か私も見てきた記憶があります。 

あとは非常にストレスの強い環境にさらされた時に身長の伸び率が悪くて、そういったストレスが開放された時に身長の伸び率が上がるケースは何人か私も今まで見ています。 

それはエビデンスライグ、いわゆる論文的な内容ではなくて、私の診察の経験上の話ですのでそこはご理解いただけるといいと思いますが、巻き返すことはある程度可能です。 

ただ、その巻き返すタイミングが大事です。 

 

今回、おそらくこのお子さんは多分11歳か12歳ぐらいなのかな? 

まだその時期だったら大丈夫です。 

しかし例えばずっとそういう風な喘息とかで苦しいような状況が15歳とか16歳まで続いてしまうと、そこからキャッチアップするのは非常に難しいのがポイントです。 

15歳ぐらいになってくると骨端線がかなり閉じた状況になっていますので、そこからキャッチアップというのはなかなか難しいですね。 

若ければ若いほどほぼキャッチアップが可能です。 

 

よく私の方でいつもお伝えしているのは、まず5歳未満はめちゃくちゃキャッチアップします 

5歳までの成長曲線は統計学に全然当てはまりません。 

ですので、私は最終身長を予測する時は5歳以上でご来院いただいている理由も、そういったところがあります。 

5歳未満で喘息が治ってしまえば、すごくキャッチアップすると思います。 

10歳未満だとしてもかなりキャッチアップすると思います。 

12歳・13歳とか思春期に入った後、そうなってくるとキャッチアップの比率は落ちます。 

 

例えば思春期開始時の身長が最終身長を決めるなんてデータもありますので、そういった意味だと苦労した状態で思春期に入ってしまうとキャッチアップの比率は落ちると思います。 

キャッチアップに関しては、治療が終わった時期がすごく大事だと思います。 

 

論文を解説Part2

 

ということで今最もおそらく多いと思われる喘息についてお話ししました。 

喘息だけじゃなくて他の病気はどうかなということで、2人目の質問者さんは何の病気とか書いていませんが、他の病気も1個ピックアップして持ってきました。 

 

The Effect of Long-term Steroid Therapy on Linear Growth of Nephrotic Children 

引用元:National Library of Medicine

ということで、ネフローゼというタイプの病気であり、腎臓の病気です。 

 

ネフローゼという病気はなかなか皆さんも馴染みがないと思います。 

私も正直全然専門ではないのでざっくりとした理解ですけども、腎臓の病気でステロイドが治療に比較的よく使用されるタイプの病気です。 

今回のこちらの論文に関して言うと、イランの大学なのでテヘランというところですね。 

2011年に出された論文です。 

ネフローゼに対してステロイドを使うとどうなったかというところですね。 

ステロイドはネフローゼでよく使用されますが、それがどれくらい成長にとって悪影響があるのか、おそらくあるんだけどもどれくらいあるのか分からないので、我々が検討したということを書いてあります。 

 

そこの内容としては147人のお子様を調べていった。 

最初にネフローゼとオンセット、ネフローゼになったのは5.94歳なので6歳ぐらいですよね。 

そして15歳ぐらいまでフォローアップした人たちは147人ぐらいちゃんとカルテをいっぱい見てくれたというところですね。 

結論としてはNo statistically significant retardationということで、あまり統計学的な有意差がなかった、あまり身長が低くならなかったという風な記載になりますので、ここからは何も問題なかったでしょうということになります。 

 

2つの論文のまとめ

 

1つ目の論文は身長が1cm程度低くなるという事が分かりました。 

そして2つ目の論文にて、別の病気で見るとそんなに影響はないという結果がでした。 

ただし当たり前ですがプラスに働くことはなくて、ちょっとだけ低くなるというのが正しい見解だと思います。 

 

しかし今回は2つの病気をピックアップしただけで、ステロイドは種類がたくさんあります 

例えばですが、逆に身長を伸ばすためにステロイドを投与することもありますので、その辺皆さんはご理解いただけるといいかなと思います。 

あまり一喜一憂し過ぎないで、まずは病気の治療をしっかりして、できるだけ治療を早く終わらせることでよりその後のキャッチアップも期待できるので、そういったところが重要でしょう。 

 

2人目の質問者さんの答え

 

ALP439ということで、今非常に高いですね。 

IFCC国際基準の方のデータだと思いますが、昨年が7.5cm伸びていてその一昨年は4cmということで、脇毛が生えていなくて陰毛がというところからすると、今がまさにすごい伸び盛りという表現だと思います。 

なのでまだここから伸びるかなと思います。 

 

ただ具体的に何cmというのは、成長シートに当てはめたりとかしなくてはいけなくて、検査まで来てもらわないとなかなか答えるのは難しいかなというような内容だと思います。 

そこはご理解ください。 

 

Q2.筋肉が付きづらく体重の変動も少ない身長の伸びはどうなる?

 

筋トレしても筋肉が付きづらく、またたくさん食べても体重が変わらない(少し減る)体質です。 

そして成長期のようにグンと伸びなかった170cmの18歳(大学1年生)です。 

今後の身長の伸びはどのように予想されますか? 

 

A.

 

これに関してはまず筋肉が付きづらいとかそういったデータよりも、もし今後の最終身長を予測したいのであれば 

・直近の身長の伸び率 
・骨端線 
・採血の結果 

などのデータがあると予測しやすいと思います。 

 

Q3.足を叩いたり衝撃を加えると骨の成長は促進されますか?

 

足を叩いたりして衝撃を加えると、寝たら骨の成長は促進されますか? 

 

A.

 

よく受けるタイプの質問ですね。 

悪いとは言わないですが、私だったらやりません。 

普通にスポーツしたりして、刺激が加わる程度がいいでしょう。 

 

Q4.寝る時間を統一?起きる時間を統一?それぞれのメリット・デメリットとおすすめは?

 

寝る時間を統一した方がいいと言う先生と、起きる時間を統一した方がいいと言う先生がいますが、それぞれのメリット・デメリットとおすすめを教えてください。 

 

A.

 

これは結論から言うと、両方統一されている方がいいです。 

ですが実際の生活というのは、決めた通りになかなかできないですよね。 

 

実際問題、起きる時間というのはおそらく統一されてくると思いますので、私はいつも起きる時間から逆算して生活習慣を作ってください、という風にお伝えしています。 

学校に行く時間は大体皆さん同じですので、起きる時間から逆算して、よく「9時間寝てください」とお話しすると思いますが、毎日9時間寝るとすると寝る時間は必然的に統一されるという表現だと思います。 

 

Q5.夜中に何回も起きてしまうと成長ホルモンの分泌は少なくなりますか?

 

夜中に何回も起きてしまうと成長ホルモンの分泌が少なくなりますか? 

いつも10時に寝て、12時と3時ごろに起きてしまいます。 

 

A.

 

これは一言でいうと、よくないと思います。 

ただしポジティブなデータを言えば、最初の90分間ですごく成長ホルモンの分泌が盛んになりますので、そういった意味だと90分間寝られている場合は最低ラインは突破していると言えると思います。 

しかし当然ですが、8〜9時間熟睡する環境の方がいいというのは明らかだと思います。 

 

Q6.身長のクリニックは16歳でも大丈夫?手のレントゲンで何cm伸びるか分かる?

 

今度身長のクリニックに行こうと思ってるんですけど質問です。 

16歳でも診てもらえますか? 

あと手のレントゲンなどで何cm伸びるとかも分かるものですか? 

 

A.

 

結論から言うと、分かります 

ただし現状で私のクリニックは15歳0ヶ月未満の方を対象としていますので、私のクリニックでは診ることはできません。 

 

Q7.ウォーキングとスポーツを同じ時間やると身長を伸ばす効果は違う?

 

ウォーキングとスポーツを同じ時間するのでは身長を伸ばす効果は違いますか? 

 

A.

 

おそらくスポーツの方がいいと思います。 

スポーツの方が成長ホルモンの分泌値が多いと思います。 

 

Q8.エナジードリンクは身長にとってマイナスですか?

 

エナジードリンクは身長にとってマイナスですか? 

 

A.

 

エナジードリンクを一括りにするのは難しいですが、糖質には十分に注意が必要です。 

私の方からすごく積極的に摂取してください、という内容のドリンクではないかなと思います。 

ただ全部を否定するということもないと思います。 

 

Q9.身長スパートがなく止まる人もいますか?

 

身長スパートがなく止まる人もいますか? 

 

A.

 

います。 

これに関して言うと、その人にとってはスパートであると思いますので、全くないなんてことはないと思います。 

しかしいわゆる期待値ですね、10cm伸びるとか15cm伸びるとかそういったような期待値からすると、スパートがない人もたくさんいらっしゃると思います。 

 

Q10.テコンドー総合格闘技で身長は伸びますか?

 

テコンドー総合格闘技で身長は伸びますか? 

 

A.

 

運動することはいいと思います。 

ただ怪我には十分注意してください。 

 

Q11.18歳で167cm今の身体状態から身長は伸びますか?

 

18歳167cmで髭は産毛、脇毛は全く生えていません。 

今の身体状態から身長は伸びますか? 

 

A.

 

これもこの状況から判断するのは難しいです。 

・今までの年間の成長率 
・採血結果 
・レントゲン 

これらのデータを持って判断すべきであり、この質問内容ではなかなか判定は難しいですね。 

 

しかし全く伸びない印象ではないかもしれませんね。 

 

まとめ

 

今回はステロイドを使うと身長が伸びないのかどうかについて、を中心に解説していきました。

 

以上、参考になりましたでしょうか。 

 

今後も身長に関することを全身全霊で配信していきます。  

身長先生ブログのチェックと、身長先生YouTubeのチャンネル登録をよろしくお願いいたします。 

 

 

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