採血結果から最終身長予測!ALPを用いた算出方法を紹介!
【14-18歳向け】あなたの最終身長は?採血から簡単に最終身長予測
今回は、採血結果から最終身長を予測する方法について、説明させて頂きたいと思います。
私のクリニックで既にご受診頂いている方であれば、こういった記事を読んで補完して頂くと、より知識が整理されると思います。
今日のお話の内容に該当する年齢の目安は、14〜18歳ぐらい、10代後半に入ってきた時期ですね。
そういった方の採血から最終身長を予測する方法について、解説していきます。
ALPの値から最終身長予測が可能
まずお話させて頂くのは、ALPです。
ALP(アルカリフォスファターゼ)とは、骨の代謝を表す数値です。
このALPが350以上あれば、最終身長としてはあと3cm以上は伸びると考えられます。
もしかしたら5cmぐらいの伸びを期待してもいいかもしれません。
ALPが175を切ると、1〜2cm程度、3cm伸びたらラッキーぐらいの感じです。
そしてALPが113以下であると、大人と同じような値になります。
ALPが113以下だと、基本的には現在の身長が最終身長になります。
簡単にまとめるとこのようになります。
350以上→+3cm以上
175以上→+1〜2cm程度
113以下→ほとんど伸びない
これらの3つの値について、皆さんにチェックして頂きたいと思います。
是非採血の結果を見て、自分の値を当てはめてみて下さい。
例えばALPが200だとしたら、「今の身長より+2cmくらいは伸びるかな」といった妥当な予測ができると思います。
最終身長予測をするための6つのポイント
続いては、どうしてこのような結論となるのかを説明していきます。
少し難しいですが、面白い内容なので読んでみて下さい。
そもそも、最終身長をどのように予測するのかをもう1回振り返りたいと思います。
身長先生は毎日たくさんの人の最終身長を予測していますが、その予測方法を解説させて下さい。
最終身長予測するポイントは、全部で6個あります。
①現在の身長
②過去の身長
③レントゲン検査
④思春期症状
⑤両親の身長
⑥採血の結果
①について、今何cmであるのかが大事なポイントになります。
最も大事なポイントですね。
②について、今の身長も大事ですが、昔の身長も当然大事です。
③について、骨の年齢、骨端線が残っているかなどのレントゲンの検査が大事です。
④について、思春期が早い方なのか遅い方なのか、ここはざっくりとした数字になってきますが、大事な要素になります。
⑤について、私の方では「遺伝身長」という単語を使っています。
ご両親の身長から遺伝的にどれくらいの身長が算出されるのかが大事なポイントです。
⑥について、今回お話するALPのことですね。
この6つのデータを掛け合わせて最終身長を予測するわけですね。
例えば天気予報などで例えると、すごく似ていると思います。
天気予報で明日の天気を予測する場合、今日の天気はどうかな、この1週間の天気はどうだったかななど、そういった要素がイメージ的には現在の身長や過去の身長に該当します。
明日の天気を予測する時は皆さんもそういったデータを見るでしょうし、それに対して湿気はどうか、そもそも今の季節はどうなのか、温暖化が進んでいるから全体としては〇〇の方向に向かっているかもしれない、気圧はどうなのか、そういえば雲の形はどうだったのか、気象庁の〇〇のデータはどうなのか、このような色んなデータを加味して
「最終的に明日の晴れる可能性は〇〇%」
というように予測すると思います。
本来であれば身長もこのようにして、複数のデータを掛け合わせて算出する必要があります。
その中であくまでも1つだけピックアップするということなので、そこは十分注意して下さい。
ALPを活用した最終身長予測とは?
ALPに関して、小学生のように思春期が始まる前の子供に関して言うと、小学生の年齢では参考にはなりません。
ざっくり高いか低いか程度は見れますが、ALPだけでは具体的な予測はできません。
逆に言うと、思春期が終わってきて第二次成長期の後半を迎えている子供に関しては、ALP(アルカリフォスファターゼ)の値に関しては非常に有効性が高いです。
なのでその辺りについて説明します。
そもそも「アルカリフォスファターゼって何?」と疑問に思う方もいるでしょう。
アルカリフォスファターゼは、骨の代謝(骨代謝)を表します。
代謝というのは、聞き慣れている人と聞き慣れていない人がいるみたいなんですけども、僕からすると非常に「コモンワードなのかな」という印象ですが、代謝がいい人と悪い人というのは存在します。
例えば、運動をした時にすごく汗をかく人を見ると
「あの人代謝がいいね!」
「きっと太らないよ」
という話になったり、
「私は代謝が悪いからちょっと食べただけで凄く太るんだよね」
というような表現をする方もいらっしゃると思いますが、そういったことが代謝ですよね。
実は代謝というのは、骨にも存在します。
その骨の代謝を見るのにALPの数字が有効になります。
例えば今車が走っているとして、「その車があと何km走れますか?」みたいな質問と、「あと何cm伸びますか?」という質問は似ています。
距離=速さ×時間で表しますよね。
その中で例えば骨端線が残っているというのは、「タイムリミットまであとこれぐらい時間がある」という意味になるので、
距離=速さ×時間
この時間に該当するのがレントゲン検査です。
それに対してALPはどちらかというと、速さに該当しています。
例えば車でアクセルを踏まない状況でいると、最高スピードに達してからはある一定の割合で減速していきますよね。
このことと同じように、皆さんのALPという値も似たような感じで減速(下降)していきます。
その減速の度合いを見て、あとどれくらい伸びるのかを検討するのがALPによる最終身長予測という表現になってきます。
繰り返し言いますが、本当はそれだけで予測するのではなく、色んな要素を加味して予測していきます。
ドイツのALPデータ
今回はドイツのデータを持ってきました。
ドイツの大学病院が出した2016年の
Clinical Chemistry and Laboratory Medicine(CCLM)
という雑誌に出ている論文です。
Pediatric reference intervals for alkaline phosphatase
簡単に言うと、アルカリフォスファターゼの小児の基準値という内容です。
この論文の凄い点が、12万人のデータから36万個の血液サンプルを使用したデータなので、データとしては凄く大きいです。
そのデータ(論文)をこれから見ていきます。
図1
まずALP(骨の代謝)についてですが、今回はあまり関係ありませんが、出生後20日くらいでピークに達します。
その後は安定期に入っていきます。
小学生くらいの時期が安定期に入る時期です。
その後に上昇していって、この論文上だと女の子は10〜12歳でピークに達することが分かります。
その中央値と最大値がそれぞれ240と400なので、1番高いと400ぐらいになるという風な表現で書いてありますね。
男の子であれば13〜15歳がピークになるでしょう、ということがこの論文に書いてあります。
他のstudyと比較してもほとんど相違がないので、ここから分かることとしては、非常に多くのデータから分かるように、
女の子の場合
→10〜12歳でピークになる
男の子の場合
→13〜15歳でピークになる
このように、男の子の方が少しピークが遅いことが分かりますね。
これが最終身長に大きく影響しています。
すごく平たい言い方をすると、基本的には女の子の方が早熟です。
例えば女の子は「女の子らしくなるのが早い」という表現を、皆さんもしたことがあるかもしれませんが、それは実際にその通りであって身長においても同じです。
このことがALPの値からも証明されていることが、この論文から分かります。
日本のALPデータ
日本のALPのデータを見てみましょう。
図2
こちらは2008年の日本小児科学会雑誌に載っているデータです。
こちらの方で見てみると、男の子の場合だと10〜13歳で1,450とピークを打っています。
このピーク時の1,450という数字ですが、これは旧ALPですね。
過去にも説明しているように、これは昔のデータなのでちょっとデータの質が違います。
>>血液検査のALPが高い子供の身長は伸びる?新ALPと旧ALPの違い!
ただし基本的には10〜13歳ぐらいでピークというのは同じです。
女の子場合だと10歳でピークということになります。
さっきのドイツのデータを見てみると、ドイツ人は先程のデータから言うと、女の子だったら10〜12歳ぐらいでピークになるのに対して、日本人はどうやら10歳ぐらいでピークに達するので、1年ぐらい早いような印象があります。
それに対して男の子も先程のドイツのデータで言うと、13〜15歳ぐらいがピークになるとお話させて頂きました。
日本人の場合だと10〜13歳ぐらいがピークということがデータ上からも分かります。
続いて日本臨床科学会のデータになります。
図3
こちらのデータでは新しいALPです。
やはり男性であれば10〜13歳でピークということで、ドイツの人よりもALPがピークに達するのが少し早いということが、ここのデータから分かると思います。
こういったところによって、日本人がドイツ人より身長が低い理由の1つかもしれません。
ドイツ人の平均身長は男性180cm,女性170cmと言われているので、かなり日本人とは違っています。
こういったALPのずれから来ているかもしれませんね。
面白い人は面白いかもしれません。
今回は少しコアな内容の話をしているので、皆さんがどんなリアクションなのかを期待しています。
最終身長の算出方法
これらのデータを見てみると、少なくとも13歳とかの年齢でピークに達して、そこからALPが減弱していって、最終的には大人の値になっていくわけですね。
なのでその時の値と、平均的な年齢と、平均的なアルカリフォスファターゼなど、そういったところを総合して加味していくと、このような相関表を作ることができたりします。
表1
13歳の平均のデータは157cmで、そこでピークの500を打ったとします。
そこから
14歳で163cm・ALP408
15歳で168cm・ALP317
16歳で169cm・ALP226
17歳で170.5cm・ALP170
18歳で171cm・ALP113
仮にALPが500〜113まで、13歳から18歳にかけてこのように減弱していくという風な、いわゆるロールモデルを作ることができます。
このロールモデルは非常に雑ですので、私の動画や記事はお医者さんや専門家の方も見ていることは知っているのですが、そういう人はあまり突っ込まないでください。
逆に言うとそういった専門家の方であれば、このように近似値を出す意味合いというのも、もう少し深い意味で理解して頂けるかと思います。
例えば15歳0ヶ月でALPが317だとします。
ロールモデルではそこから3cm程度伸びるわけですので、ALPが300ぐらいであれば残り3cmは伸びるのかな?、といったことが推察して言えるようになります。
これは先程の日本のデータとかから算出して私がロールモデルを作成したものになりますので、これが1点。
また、例えばALPが170ぐらいだと、残り1cmも伸びないことが分かります。
ALPが350以上、いわゆる408から見てみると8cmぐらいは伸びるという印象になってきます。
そういった意味だと、ALPが350以上あると結構伸びるということが、ここから推察される形になります。
ここからはさらに別の考察になります。
例えば16歳0ヶ月の男の子が目の前にいたとします。
16歳の男の子についてさっきのデータでもう一度振り返ってみましょう。
表2
基準値としては113〜367.5というのが公表されているデータになります。
どういう子が高い・低いかというと、当然ですが高い子っていうのは凄く晩熟な子という表現になります。
私の方では大体ですが、マックス晩熟っていうのは大体2年間ぐらいのイメージなので、体の年齢が14歳というような表現になります。
14歳の子のデータを参考にすると、最終的に何cm伸びるかを擬似的に算出することができます。
逆に言うと、2年ぐらいだったら超早熟な子ということになりますので、そういった子が大人の値になっているとして考えて見てみると、同じようなことを考えることができます。
例えばそこから算出される16歳の平均的なALPの値というのは、222ということになります。
ALPが222ぐらいあると、このデータでは2cmぐらいは伸びるかもしれないとお伝えすることができます。
またALPが350以上あると8cm伸びるとか、そういったことが言えるかと思います。
ただし何度も繰り返しますが、採血だけで最終身長を予測しているわけではないので、注意して下さい。
まとめ
最後に私がお伝えした内容をもう1回振り返りたいと思います。
ALPが350以上あると、3cm以上伸びると言えます。
一応データ上だけですと、8cmということも可能ですが、ALPが350でも落ちかけ(減少寸前)の350と、なりたての350では意味合いが変わります。
すごく優しく見ると8cm伸びるというデータもありますが、それはちょっと甘く見すぎかなと思っています。
ALPが175を切ると、最終身長はおそらく現在の身長+2cm前後、多く見積もって+3cmぐらいだと思います。
そしてALPが113(大人の値)になるとほとんど伸びないというのが結論になります。
もう一度最後に繰り返します。
最終身長というのは採血だけで見るのではなくて、
①現在の身長
②過去の身長
③レントゲン検査
④思春期症状
⑤両親の身長
⑥採血の結果
このような色々なデータを踏まえて、総合して加味していきます。
採血だけで分かるわけではありませんが、参考になりましたでしょうか。
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