身長を伸ばすにはタンパク質が必要不可欠?論文を用いて解説!
今回お話させて頂くのは、身長が伸びる食材についてです。
何を食べたら身長が伸びますか?
といった質問をよく受けますが、そんな疑問に論文を用いて答えていきます。
早速結論ですが、身長を伸ばすにはタンパク質の摂取が重要です。
ではなぜタンパク質を摂取する必要があるのか、この理由を論文を用いて解説していきます。
- 参考にする論文
- タンパク質総量が大事
-代表的な5つの国で比較
-代表的な5つの国で比較(地域で比較)
-タンパク質量と平均身長の相関について - 肉・魚・卵・動物性タンパク質が大事
-低品質のタンパク質と高品質のタンパク質についての解説
-高品質タンパク質の摂取量(比率)と身長の関係
-低品質タンパク質(小麦)の2倍量とは
-日本に着目 - 乳製品が大事だが、乳糖不耐症には注意
-乳製品と乳糖不耐症
-乳糖不耐症とは
-乳糖不耐症の割合マップ
-4のまとめ - まとめ
1:参考にする論文
今回参考にさせて頂く論文はこちらです。
Major correlates of male height: A study of 105 countries
引用元:Economics and Human Biology
Economics and Human Biologyという雑誌に載ってくるような内容になります。
簡単に訳すと、105個の国を調べ、何が関係しているのか統計学的に調べた、そういった論文になってきます。
また、この論文は2編に分かれており、もう1つがこちらです。
The role of nutrition and genetics as key determinants of the positive height trend
引用元:Economics and Human Biology
同じ先生が書かれた論文で、どのようにして多くの国、たくさんの国の身長と習慣、経済状況や食事習慣を統計学的に解析して、何を食べたら身長は伸びるのか、何をすると身長が高くなるのか、そういった研究をした論文になります。
今回参考にした論文は、2014年、2016年にチェコのグラスグルバー先生が出された論文です。
この論文を使って、何を食べたらよいのか説明していきます。
2:タンパク質総量が大事
まずはこちらのグラフを見てみましょう。
図1
- 横軸:Average male height(cm)とういことで、その国の平均的な男性の身長
- 縦軸;Total proteinということで、1日あたりのタンパク質の摂取量
これらを表しています。
つまり、上にいけばいくほどタンパク質の摂取量が多く、右にいけばいくほど身長が高くなる、そのようなグラフとなっています。
これら1個1個の丸は各国となっています。
例えばオランダの丸を見ていきましょう。
図2
オランダの平均身長は184cmで、1日の平均的なタンパク質の摂取量は105gとなっています。
このグラフを見て分かるように、右肩上がりのグラフ、つまり正の相関を示していることが分かりますね。
簡単に言いますと、タンパク質をたくさん摂取している方が身長が高い、もしくは身長の高い国はタンパク質の摂取量が多い、そういったようなグラフとなっています。
このグラフをもう少し詳しく見ていきます。
代表的な5つの国で比較
今ほどオランダを例に挙げたのですが、他の代表的な国をいくつかピックアップしました。
図3
- オランダ
- アメリカ
- 日本
- タイ
- カンボジア
この5つの国を見てみましょう。
先程説明したように、右上にいけばいくほど身長が高くなってきますので、この5ヶ国の身長順としては
オランダ→アメリカ→日本→タイ→カンボジア
という順になってきます。
そして上にいけばいくほどタンパク質の摂取量が多いので、タンパク質の摂取量順としては
アメリカ→オランダ→日本→カンボジア
という順になります。
アメリカとオランダのタンパク質と身長の関係が逆転してしまっていますが、基本的にはタンパク質の摂取量が多い国の方が、身長が高いということがこのグラフから読み取ることができます。
代表的な5つの国で比較(地域で比較)
また、グラフ上の丸に色がついていますが、これは地域を表しています。
- 青:ヨーロッパ、北米
- 黄色:南アフリカ、東アフリカ近郊
- 薄緑:アジア
- 緑:熱帯アジア
これらを踏まえてグラフを見てみると、身長の高いヨーロッパは身長の低い熱帯アジアよりも、1日に摂取しているタンパク質量は2倍とも言えます。
■ヨーロッパ、北米
- アメリカ:115g(179cm)
- オランダ:105g(184cm)
■アジア
- 日本:95g(172cm)
■熱帯アジア
- タイ:58g(167.5cm)
- カンボジア:53g(162.5cm)
このように、タンパク質量と平均身長は相関があることが分かります。
タンパク質量と平均身長の相関について
では、これらはどの程度その関係性が深いのか、説明させて頂きます。
色んな評価方法があって難しいのですが、一つの目安として「r=・・・」という相関係数を用いて評価することができます。
この相関係数を用いて、どの程度そのタンパク質の量と身長が関係するのか、統計学的に表現することが可能です。
図4
こちらを見てもらうと、今回は「r=0.74」という数値となっています。
r=0.4以上あると相関があると言え、r=0.7を超えてくるとかなり強い相関があると言えます。
つまり、今回は「r=0.74」ということから、統計学的にかなり強い相関があると言えます。
3:肉・魚・卵・動物性タンパク質が大事
タンパク質と言っても、お肉から得られる動物性タンパク質以外にも、植物や小麦などにもタンパク質は含まれています。
その中でどういったタンパク質を摂取すると良いのか、というのを解説していきます。
こちらのグラフをご覧下さい。
図5
- 横軸:男性の平均身長
- 縦軸:高品質タンパク質(乳製品、豚肉、魚)と低品質たんぱく質(小麦)の摂取比率
この2つの関係を示したグラフになります。
先程は単純にタンパク質の総量だけで見ていましたが、今度はさらにタンパク質がどういった比率で、どういったものが含まれているのかを表しています。
国によって色んな食材があり、区別は難しいのですが、簡単に言うと低品質のタンパク質と高品質のタンパク質の比率を表したグラフになります。
低品質のタンパク質と高品質のタンパク質についての解説
こちらのグラフを見ていきましょう。
図6
まず真ん中の黄色い線ですが、グラフ上ではイタリア1.0(176.5cm)が該当します。
これは、小麦で摂取されるタンパク質の量と、お肉などで摂取されるタンパク質の量が「1:1等量」、つまり「同じ量」だということを示しています。
そしてアメリカ・スウェーデン・オランダという順に、グラフ右上に上がっています。
オランダを見てみると、高品質のタンパク質の摂取量が多いですね。
一方、アルメニア・アゼルバイジャンという国は、低品質のタンパク質の量が多くて比率が高い、そのような事が分かります。
また、先程の説明と同じように、右肩上がりのグラフになっていますので、正の相関があると言えます。
「r」を使った相関度合いを見てみると、「r=0.72」と、かなり強い相関があると言えます。
アゼルバイジャンという国は一体どこにあるのか想像がつかないかと思いますので、こちらのマップを見てみて下さい。
図7
アゼルバイジャンはトルコの右側にあるようです。
高品質タンパク質の摂取量(比率)と身長の関係
続いて、高品質タンパク質の摂取量(比率)と、身長の関係を表してみると、このようになります。
表1
この表を見てみると、やはり高品質のタンパク質、魚だったりお肉だったり、卵とか乳製品だとか、そういったタンパク質を摂取することが大事だということが分かります。
オランダの比率が2.65(184cm)となっていますが、この数値のイメージが湧かないと思いますので、説明させて下さい。
小麦から得られるタンパク質が30gとすると、乳製品などの高品質タンパク質が79.5gに該当してきます。
つまり、タンパク質の総量の72.6%が、高品質のタンパク質からなっている、そういったデータとなっています。
ちなみにアメリカは62%となっています。
今のデータをざっくりと見ていくと、アメリカの1.65(179cm)と、オランダの2.65(184cm)の間くらいは摂取したいですね。
つまり、目標としては低品質タンパク質(小麦)の2倍量を摂取したいということです。
あくまでも今回のデータを踏まえた見解ですので、一つの目安として考えてみてはいかがでしょうか。
低品質タンパク質(小麦)の2倍量とは
2倍と言われてもイメージが沸かないかと思いますので、説明させて下さい。
■低品質タンパク質(小麦)
- 食パン(6枚切り1枚)は5.6g
■高品質タンパク質
- ハムエッグ(9.5g)
- ヨーグルト(5.8g)
これらを食べるとすると、比率が2.7となります。
先程のオランダの2.65、という数字に限りなく近いですね。
食パンに対してハムエッグとヨーグルトと食べれば2.7と考えると、不可能な数字ではないことが分かります。
ぜひ皆さんも計算して頂き、2倍をしっかり超えてくるような食生活をとって頂くといいかもしれません。
日本に着目
次に、今のデータに日本が入っていなかったので、日本に着目して紹介していきます。
こちらのグラフをご覧下さい。
図8
主要な国を見てみると、このような数字となってきます。
- オランダ:70g/日
- 日本:50g/日
- ベトナム:32g/日
- インド:12g/日
イメージ通り、日本はベトナムやインドよりも高く、オランダよりも低い、そういったデータとなります。
また、このグラフは1961年から2009年のデータですが、日本は戦後にタンパク質の摂取量が25〜50g、約倍程度まで伸びていることが分かります。
それに合わせて、平均身長も伸びています。
4:乳製品が大事だが、乳糖不耐症には注意
今ほどお伝えした通り、乳製品も高品質のタンパク質に該当、摂取するのは有効であると考えられます。
しかし、乳糖不耐症には注意が必要になってきます。
詳しく説明していきます。
こちらのグラフをご覧下さい。
図9
これは乳製品・じゃがいも・卵・牛肉と身長の相関を見たグラフとなってきます。
こちらもアメリカ・オランダが右上に位置しており、真ん中に日本、左下にタイとインドネシアが位置しています。
今までのグラフと同じようなデータとなっています。
ここには乳製品が該当していますので、身長を伸ばすのに非常に有効だということが分かります。
ただし、乳製品以外の定義も入ってきますので、そこはまた難しいところになってきます。
乳製品と乳糖不耐症
乳製品だけを摂ったグラフというのは今回なかったので、本文中の分を取り出してきました。
英語を和訳したものになります。
乳製品の摂取量が低い国は、乳糖を多く摂取できる人がそもそも少ないということが書かれています。
また、乳糖耐性と栄養状態が一致しており、さらに身長とも相関があるということになります。
乳糖不耐症とは
乳糖耐性について説明させて下さい。
乳糖耐性とはどういうことかと言いますと、牛乳を飲んだ時に、しっかりと栄養を身体に吸収する能力があるかないかを表しています。
簡単に言うと、牛乳を飲んで下痢をするような人は、乳糖に対して不耐性な訳ですから、そういった方は牛乳をたくさん飲んでも摂取がうまくできないので、それが身長に繋がりません。
一方で乳糖の耐性がある人は、乳製品をしっかり摂取できるため、それに応じて身長が伸びていくということになります。
乳糖不耐症の割合マップ
こちら、不耐性の割合を示したマップになります。
図10
濃い青のマップが80%〜100%とういことで、あまり牛乳が飲めない地域です。
一方で緑色の部分が、牛乳を多く飲める地域になります。
アメリカやスウェーデン、オランダなどは緑色の地域で、日本や東南アジアは青色の地域だということが分かります。
4のまとめ
今のお話をまとめた表とグラフがこちらになります。
表2
こちらは牛乳の耐性を表しています。
牛乳を大量に飲んでも下痢しない人の割合が、このグラフになってきます。
右上から、
オランダ→アメリカ→イタリア→台湾→タイ
という順で、割合が低くなってきます。
オランダは95%の人が、耐性を持っていることが分かります。
つまり、95%の人は牛乳を大量に飲んでも下痢をしないということです。
アメリカだと77%、イタリアだと40%に一気に減ってきて、台湾は10%、タイは3%になります。
タイの人は、ほとんどの人が牛乳を飲むと下痢をするということが分かりますね。
そしてさらに、「r=0.80」ということで、相関が非常に強いと言えます。
まとめ
最後にまとめていきます。
栄養時にタンパク質は身長を伸ばすのに非常に重要である。
タンパク質の中でも動物性タンパク質を中心として高品質タンパク質が大事である。
→2倍以上(小麦タンパク質に対して高品質タンパク質を)摂取したい
一方で、乳製品に関しては乳糖不耐症の関連性も高く、日本人には取り扱いには要注意である。
今回、何を食べたらいいかというのを説明してくと、結論としては、タンパク質の摂取が大切になってきます。
タンパク質を勉強するにあたって、おすすめのYouTubeチャンネルがありますので、ご紹介させて頂きます。
1つ目が、「Hidetada Yamagishi」というビッグヒデチャンネルという、プロボディビルダーの方のチャンネルになります。
現在アメリカ在住、早稲田大学出身の高学歴であり、かつとても面白い方です。
プロテイン・サプリメント教室の動画を紹介しますが、こちらの動画もとても面白いです。
2つ目が「山本義徳 筋トレプログラム」という、早稲田大学卒業後、プロボディビルダーで活躍された方です。
過去にこの方が主催した栄養講座に、私も参加した事があります。
論文ベースに全てを解説されており、お医者さんと一緒、もしくはお医者さん以上に詳しい内容になっています。
このように、プロボディビルダーの方の動画を観て頂いて、プロテイン・タンパク質について勉強して頂くといいかもしれません。
栄養摂取を最大化する、成長ホルモン分泌を最大化するといった発想で、実はボディビルディングと身長・治療というものは近いものがあると考えられます。
ですので、栄養を勉強する上において、ボディビルディングの方の動画は非常に勉強になりますので、是非参考にしてみて下さい。
ただし一方で、ボディビルダーは筋肉を大きくするというのが彼らの目的になります。
筋肉に強い破壊を起こして、そこに急速に栄養を補給することで筋肉を肥大させるというような形なので、目的が違うということに注意して下さい。
運動が終わって、成長ホルモン分泌アップを促していきますが、過剰な筋トレは栄養を全て筋肉側に持っていかれてしまうと困るので、そこにも十分注意して下さい。
最後にもう一度まとめます。
- タンパク質を肉、魚、卵から摂取することが望ましい
- 小麦だけでお腹がいっぱいにならないようにする
- 乳糖不耐症の場合は、乳製品以外からしっかりとタンパク質を摂取する
- ボディビルダーの方の知見は、部分的には身長を伸ばす上において非常に参考になる
今回は以上になります。
いかがだったでしょうか。
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