【男子実年齢13歳11ヶ月】骨年齢14歳6-9ヶ月やや早熟例の身長モニター動画
身長びよ~ん。
医師医学博士整形外科専門医身長先生こと田邊です。
今日も全身全霊で身長に関することをお話していきたいと思います。
さて、本日お話させていただく内容ですが、13歳11ヶ月男子のモニター企画です。
2022年のデータなんですが、それを振り返り、
・初診でどんな話をしているのか?
・どう最終身長を予測していくのか?
・どう治療して伸ばしていくのか?
そういったところを皆さんにご紹介させていただければと思います。
13歳・14歳の方は、こちらの記事を見て参考にされてはいかがでしょうか。
それでは今回は、13歳と11か月の男性のデータを一緒に見ていきたいと思います。
- 初診でどんな話をしているのか?
- どう最終身長を予測していくのか?
・①現在の身長
・②過去の身長
-早熟のよくあるグラフの特徴
・③レントゲン検査
・④思春期症状
・⑤ご両親の身長
・⑥採血のデータ
-骨代謝(ALP)
-性ホルモン
-亜鉛
-鉄
-ビタミンD - どう治療して伸ばしていくのか?
・成長ホルモン補充療法
・思春期コントロール治療
・栄養補充療法(サプリメント) - 本日のまとめ
初診でどんな話をしているのか?
初診では、
・目標の身長
・最終的に何センチになるのか?
・どういった治療ができるのか?
・身長を伸ばす生活習慣
こういったところをお話していきます。
診察時間は通常30~60分と長く行っていることを覚えておいてください。
まず最初に「目標の身長を教えてください」という話をします。
2022年の時はやっていなかったんですが、現在はこういった質問をしています。
皆さんの目標の身長を聞かせていただいて、目標が高ければ私の提案も高くなりますし、目標が低ければそこまでやる必要はないでしょうというような話になってくると思います。
身長は伸ばせる時期が限られます。
当院では、
・男子14歳以上
・女子13歳以上
この年齢の場合、治療はあまりおすすめしていません。
13歳11ヶ月はそういった意味でラストスパートです。
1㎝を大事にしてください。
1cmの積み重ねが、5cm、10㎝の変化に繋がります。
どう最終身長を予測していくのか?
最終身長を予測する時は、
・①現在の身長
・➁過去の身長
・③レントゲン検査
・④思春期症状
・⑤ご両親の身長
・⑥採血のデータ
まず、この中の5項目から総合して予測します。
それに加えて、採血のデータを加味して、それが正しいかどうかを吟味していく流れです。
①現在の身長
1つ目の項目は、現在の身長(今日の身長)です。
モニターのお子さんは、ご来院いただいた時、13歳11ヶ月180.6㎝でした。
このまま平均的に伸びていくとどうなるか、身長先生の成長シートを見ていきます。
こちらは毎月1000名の方がダウンロードしているそうです。
成長シートが欲しい方は、無料で公式LINEからご自身でダウンロードいただけます。
簡単に身長が予測できるようなシートになりますので、ぜひお試しください。
表1
こちらを見ると、このまま成長すると平均的には約186.5㎝~187.0㎝になることが予測されます。(表1)
②過去の身長
それに対して、2つ目の項目は過去の身長がどうか見ていきます。
表2
過去の身長はどんな感じなのかみていくと、こちらは超典型的な早熟タイプかなと思います。(表2)
ただピーク値はそんなに早くないためあまり心配しなくてもいいですが、タイプとしては早熟タイプとなってきます。
具体的に言うと、早熟のよくあるグラフの例ということになります。(図1)
図1
早熟のよくあるグラフの特徴
早熟のよくあるグラフの特徴のとして、
・αとβの角度は類似する
・直線的に成長する
・18歳までは伸びない
ということがあります。
αとβの角度は類似する
今回も、αの上がる角度とβの下がる角度は類似することが多いという説明になります。
直線的に成長する
図2
1回直線になると直線的に成長することが多いです。(図2)
ただまだ下がっていないので、ここはまだわからない、という説明になります。
ざっくりととこういったところかな、というのがグラフから分かります。
18歳までは伸びない
思春期後半の場合、前年の成長率の半分が次の年の期待値になります。
例えば、年間3cm伸びたお子さんの場合、1.5㎝ぐらい伸びるという説明です。
今回のモニターのお子さんに関して言うと、
13歳0ヶ月:175.9㎝
13歳1ヶ月:180.6㎝
180.6㎝-175.9㎝=4.7㎝
4.7㎝÷11×12=5.1273
このような計算となり、年間で5.1㎝伸びる計算です。
直近1年間は5.1㎝伸びたという説明になります。
その次を見てみると、
5.1×0.5=2.5637
2.5637×0.5=1.2819
その次は0.6、その次は0.3などになります。
計算で今後の伸び率が分かってきます。
0.3+0.6+1.28+2.56=4.74
計算するとあと4.74㎝伸びたら身長の伸びが終わるということになります。
今回であれば、
180.6㎝+4.7㎝=185.3㎝
過去の身長から予測すると、185.3㎝になるということがわかります。
先ほどの表を見てみましょう。
表3
先ほどの早熟のグラフよりは、やや甘めの予想だなとわかります。(表3)
③レントゲン検査
次はレントゲン検査を見ていきます。
レントゲンの検査は今回13歳11ヶ月で、骨年齢が14歳9ヶ月のレントゲンですので、非常に成長が早いという説明になります。
表4
身体が全部14歳9ヶ月だった場合どうなるかというと、183~184㎝に向かうというのがだんだんわかってきたと思います。(表4)
表5
グラフ上で矢印の方へいくという説明がつきます。(表5)
どの程度矢印の方へ行くかはまだ議論が必要です。
ここからレントゲンの説明をしていきたいと思います。
こういった年齢だと指先を見ていきます。
画像1
こちらは、骨端線が閉じてしまっています。(画像1)
画像2
中指の中節骨というのですが、端はわずかに骨端線が残っており、ここが15歳にまだ至っていないという説明になっていきます。(画像2)
画像3
次にこの赤丸の部分が開いている時点で15歳未満という判定になってきます。(画像3)
画像4
今回は14歳9ヶ月で評価をしていますが、ここも開いていますのでもう少し甘くみてもよいかもしれません。(画像4)
決して若いとは言えませんが、15歳0ヶ月ではないという説明になります。
画像5
15歳0ヶ月の場合だと、ここの橈骨の部分と尺骨の部分しか開いていないという説明になります。(画像5)
今回はそういった意味で14歳9ヶ月と評価をしています。
1年後の今改めて見ると、もう少しだけ甘くして、14歳6ヶ月くらいでもいいかなと思います。
ただ現状13歳11ヶ月の初診時ですので、早熟であることには変わりないという説明で間違いありません。
初診時は14歳9ヶ月と評価していますが、今見ると14歳6~9ヶ月くらいでいいと思います。
成長シートを見てみましょう。(表6)
表6
14歳9ヶ月だった場合→180㎝~184.5㎝
15歳3ヶ月だった場合→180.3㎝~184.0㎝
14歳6ヶ月だった場合→185㎝~185.5㎝
という説明になります。
先程半減率で計算した場合が185.3㎝でしたので、その辺りの妥当性が高いというのがみえてくると思います。
④思春期症状
次に思春期症状についてです。
今回の方は思春期症状を忘れてしまったということで、この辺りは不明ということになります。
表7
成長シートのデータを見させていただくと、こういったところでおそらく思春期症状が始まったと考えるのが妥当だと思います。(表7)
思春期が始まると成長シートが大きく右にシフトする傾向があります。
そのため、今回の方に関しては、思春期が始まったのがおそらく11歳ぐらいなのかなと考えると、少し早めと考えるのが妥当だと思います。
思春期症状の超早熟の目安として、
・陰毛11歳0ヶ月未満
・声変わり12歳0ヶ月未満
このようなものがあり、声変わりの方が一番わかりやすいので、ぜひチェックしてみてください。
声変わりが15歳0ヶ月以上だと晩熟とされていますが、実際13歳0ヶ月以上で声変わりしていれば比較的晩熟と判断しても良いです。
14歳以上であれば、ほぼ間違いなく確定と思われます。
そういったように考えていただくのが無難でしょう。
⑤ご両親の身長
ご両親の身長(遺伝身長)についてです。
((父親の身長+母親の身長+13)/2)±9
こちらの計算を行うと、177㎝になりました。
そうやってみるとすごく高い身長で推移されているということがわかります。
最終身長が何センチになるかというと、私の去年の時点では、181.8㎝~184.5㎝と少し厳しめのデータです。
今改めて見ると、184.0㎝~185.5㎝と、もう少し優しいデータになるかなと思います。
骨年齢の評価が前回と今回で違ったところが、最終結果の違いになったと考えられます。
表8
グラフの形成角度としては、こういったところに行く可能性もゼロではなく、上振れ要素になってくるのではないかという説明になると思います。(表8)
⑥採血のデータ
次に採血のデータを見て予測を補正します。
・骨代謝(ALP)
・性ホルモン
・亜鉛
・鉄
・ビタミンD
などのデータを見ます。
今回ALPが206という数字でした。
骨代謝(ALP)
簡単にALPについてご説明します。
「車がどれだけ走りますか?」という質問を受けたら、距離=速さ×時間だと表すことができます。
「どれだけ身長が伸びますか?」という質問においても、
身長=ALP×骨年齢
であると答えられます。
今回は、
ALP=206
時間=14歳6~9ヶ月
です。
ALPは、
500以上:身長の伸びがピーク(◎)
350以上:成長期(〇)
175以下:最終身長に近い(△)
113以下:大人の値(×)
このように表されています。
今回に関して言うと、175以下ではないため、完全にすぐ止まるというわけではなく、まだ少し伸びるでしょう。
ただ顕著に伸びている時期ではないとわかるため、先ほどお伝えした数字が比較的妥当かと考えれます。
性ホルモン
今回男性ホルモンの値が4.18ということで、完全に大人の値です。
13歳11ヶ月だとほとんどの場合男性ホルモンの値が大人の数値になります。
亜鉛
今回亜鉛は69と低い結果でした。
こういったところを上げるといいと思います。
鉄
鉄はいろんな項目で診ますが、今回はTIBCというもので見ます。
今回371と高めの結果でした。
こういったものも補充対象という表現になってきます。
ビタミンD
今回ビタミンDは、25.4という結果でした。
こちらは40以上を栄養補充療法で目指していきます。
栄養補充をやるとより一層伸ばせることがよくわかると思います。
どう治療して伸ばしていくのか?
どう治療して伸ばしていくのかというと、治療の内容としては、
・成長ホルモン補充療法
・思春期コントロール治療
・栄養補充療法(サプリメント)
こういった治療によって身長を上乗せして伸ばすことができます。
簡単にどういう治療内容をして伸ばしていくのか説明していきます。
現在予測としては、181.5㎝~185.0㎝です。
これに対して、
・185㎝にいく可能性を高くしたいのか
・180㎝でいいのか
・187㎝になりたいのか
そういったところで治療内容が変わってきます。
成長ホルモン補充療法
今回のケースで成長ホルモン補充療法を行う場合、実際の診療であれば、大量の説明を論文を使いながら行っていきます。
大事な部分は動画があるため、ピックアップをして説明をしていきます。
今からだと、+1cm~4㎝の上乗せで頑張りましょうという時期です。
治療時期が遅くなるほど効果が少なくなってしまいます。
早い時期だと+3cm~7cmの見込みがあると思われます。
思春期コントロール治療
思春期コントロール治療では、プリモボランという飲み薬があります。
こういったものを行っても、+1cm~2㎝の効果が望めます。
注射ではリューブリンがありますが、こういったものを合わせて、上乗せ3cm~4㎝ぐらいを目指していく形です。
栄養補充療法(サプリメント)
栄養補充療法では、しっかりと栄養を補充していく形になります。
これらの治療は、論文上身長が上乗せされると解釈されたうえで提供をしています。
実際の治療においては、
・成長ホルモン補充療法=3ヶ月おき
・思春期コントロール治療(プリモブラン)や栄養補充療法(サプリメント)=4か月おき
このような通院頻度で来院いただくことが多いです。
本日のまとめ
今回は13歳11ヶ月男子★のモニター企画として、初診の内容や最終身長の予測の仕方、実際の治療についてお話しました。
これからも身長に関することを全身全霊で配信していきますので、身長先生ブログや身長先生YouTubeのチェックをお願いいたします。
成長シートご希望の方は、身長先生の公式LINEからご自身でダウンロードすることができます。
簡単に身長が予測できるようなシートになりますので、ぜひお試しください。