膝の再生医療(幹細胞上清液)のリアル【体験談 74歳女性治療終了後】
みなさん、こんにちは。
医師医学博士・整形外科専門医、東京神田整形外科クリニック院長の田邊です。
本日は、私の母にゲストに来ていただいております。
母は、膝の痛みに対して再生医療である「幹細胞培養上清液」という治療をしていました。
今回、全6回の治療をすべて終えましたので、その後の状態について聞いていきたいと思います。
よろしくお願いします。
【目次】
当院では膝の再生医療治療に力を入れております。
少しでもご興味を持たれた方は、当院の再生医療治療ページをご覧になってみてください。
東京神田整形外科クリニック
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6回目の注射後
田邊院長
母は、加齢に伴い軟骨がすり減ってしまう変形性膝関節症です。
病気といえば病気ですし、加齢に伴い起きてしまう加齢性変化でもあります。
その膝の痛みに対し再生医療を行い、全6回の治療を終えました。
膝の痛みに対し、保険診療では、ヒアルロン酸やステロイド注射を行います。
そして、よくならなければ人工関節を勧められることもあります。
しかし最近は、再生医療という治療が出てきました。
再生医療について、みなさん聞いたことありますか?
再生医療は別名”細胞治療”ともいわれます。
血液・脂肪・臍帯などの細胞を原材料とした治療なので、細胞治療と呼ばれています。
近年、このような再生医療が、変形性膝関節症に非常に有効だということがわかってきました。
論文上でもたくさん示されています。
母が受けているのは、脂肪由来の「脂肪幹細胞培養上清液」という治療です。
脂肪から幹細胞という細胞を取り、それを増幅させて、膝に注射する方法になります。
そこで問題になるのが、年齢が高い人の細胞を培養して注射するのが、どれほどの治療効果をのぞめるのかということです。
「SASP=老化因子」という単語も出てきています。
自分の細胞には、老化因子が含まれているのです。
膝が痛い方は高齢の人が多いため、その老化因子を増幅させ膝に注射する治療は、はたして効果が高いのか?
これ以上の治療はないのだろうかと考えていました。
結論として、幹細胞培養治療は少し古い治療になってきたと考えています。
その中で、20代女性の脂肪を使ったものが出てきました。
「幹細胞培養上清液」といいます。
若い方の細胞を使ったほうが効果が出ると考えられたものですね。
母にはこの幹細胞培養上清液を受けていただいています。
その治療のなかで、重要なことが3つあります。
- 若い方の脂肪の幹細胞を使うこと
- 全6回の治療を受けていただくこと
- 完璧な治療ではないということ
母も5月から治療を開始し、11月現在、6回すべての治療が終了しました。
通常こういった治療は2週間おきに注射を打のですが、私の母は富山県に住んでいますので、月1回ペースで半年ほど治療を行いました。
半年間治療を受けてみた感想はいかがでしょうか?
院長の母
こちらに初めてきたときは、非常に膝が痛く、ここまで来るのも「痛い痛い」という調子でした。
しかし、6回治療を受けた現在は、「痛い痛い」と思わなくなり、大変楽になりました。
田邊院長
母に関しては、非常によく効いたと思います。
母はレントゲンでの状態も悪く、体重も決して軽くはないですし、年齢も残念ですがかなり上がってきていますので、治療効果としては、かなり厳しいという印象でした。
ですが、実際には治療が効いたタイプかなと思います。
何年ほど、膝が若返った感じがありますか?
院長の母
少し大げさかもしれないですが、約10年若返ったと感じています。
田邊院長
年齢はいくつでしょうか?
院長の母
75歳になります。
田邊院長
では、65歳くらいの膝になったということですね。
次に、効果がどの程度持続するかについて説明します。
仮に65歳の膝だとすれば、またここから1年ずつ歳をとりますので、10年後にまた治療前の膝の状態になるのではないかと思います。
みなさん、治療をしてよくなった状態が永遠に続くと思いたいところですが、世の中永遠のものは、1つもないですよね。
そのため、必ず魔法が溶けるわけではないですが、また再発してしまうと考えられます。
治療後の状態
田邊院長
ここから国際基準の『KOOS(膝関節評価スコア)』を使って、評価をしていきたいと思います。
それでは、右膝の結果からみていきましょう。
①膝の痛みの頻度はどれくらいか?
「いつも」→「月に1〜2回」
3段階改善しています。
②膝を捻ったときの痛みは?
「ものすごく痛い」→「少し痛い」
3段階改善しています。
③膝を完全に伸ばすときの痛みは?
「少し痛い」→「まったく痛くない」
1段階改善しています。
④膝を完全に曲げるときの痛みは?
「ものすごく痛い」→「少し痛い」
3段階改善しています。
⑤平らな場所を歩くときの痛みは?
「ある程度痛い」→「少し痛い」
1段階改善しています。
⑥階段の上り下りのときの痛みは?
「すごく痛い」→「まったく痛くない」
3段階改善しています。
⑦夜寝ているときの痛みは?
「ある程度痛い」→「少し痛い」
1段階改善しています。
⑧座っているときの痛みは?
「少し痛い」→「まったく痛くない」
1段階改善しています。
⑨まっすぐ立っているときの痛みは?
「ある程度痛い」→「まったく痛くない」
2段階改善しています。
結果として、非常に改善していますね。
どの程度良くなるかですが、私がお伝えしているのは『KOOS』上だと最大で2段階までの改善が目安とお伝えしています。
たとえば、痛みの頻度に関して「いつも痛い」と答えている方は「週に1〜2回」まではよくなるでしょう。
ただ、「月に1〜2回」までよくなることは難しいです。
母は”痛みの頻度”と”膝を捻ったときの痛み”、”階段の上り下り”については、3段階よくなっていますので、非常に効果があったと考えられます。
このように『KOOS』上で何段階改善しているか、みていただくとわかりやすいと思います。
では次に、左膝もみていきましょう。
①膝の痛みの頻度はどれくらいか?
「月に1〜2回」→「月に1〜2回」
現状維持になります。
②膝を捻ったときの痛みは?
「ある程度痛い」→「少し痛い」
1段階改善しています。
③膝を完全に伸ばすときの痛みは?
「少し痛い」→「まったく痛くない」
1段階改善しています。
④膝を完全に曲げるときの痛みは?
「ある程度痛い」→「少し痛い」
1段階改善しています。
⑤平らな場所を歩くときの痛みは?
「少し痛い」→「まったく痛くない」
1段階改善しています。
⑥階段の上り下りのときの痛みは?
「少し痛い」→「少し痛い」
現状維持になります。
⑦夜寝ているときの痛みは?
「少し痛い」→「まったく痛くない」
1段階改善しています。
⑧座っているときの痛みは?
「まったく痛くない」→「まったく痛くない」
現状維持になります。
⑨まっすぐ立っているときの痛みは?
「まったく痛くない」→「まったく痛くない」
現状維持になります。
こちらの方も、妥当な改善かなと思います。
評価票の「まったく痛くない」にチェックすることは非常に難しいと思います。
「少し痛い」でチェックされている項目に関して「まったく痛くない」になることは難しいでしょう。
そちらも、アンケート上の特性としてご理解いただくといいと思います。
まとめ
田邊院長
それでは、これで6回の治療が終わりましたが、最後にみなさんにお伝えしたいことはありますか?
院長の母
以前は痛みが強く、歩くのも辛い状態でした。
そのため、行動範囲も狭くなってしまっていたと思います。
しかし昨日、伊豆の「浄蓮の滝」という滝壺に行って参りました。
そこは、200段の階段を下りて200段階段を上るという場所なんです。
最初はできるか不安でしたが、みなさんと同じように200段下りて200段また上って、戻ってくることができました。
そのときに「痛かった」と思うことなく元の位置に戻ることができ、膝が良くなった証拠の1つだと感じました。
田邊院長
たしかに5月の時点では、そのようなことができるなんて、全く想像もつかなかったと思います。
膝の痛みが改善され、行動的に動けるようになったことも嬉しいことですね。
幹細胞培養上清液治療後の母の状態を、ぜひ参考にしていただけたらと思います。
- 膝の痛みに悩んでいる方
- ヒアルロン酸治療で効果がない方
- 手術を検討している方
- 再生医療を受けたが良くならなかった方
そういった方は、ぜひ当院へお越しいただけると嬉しいです。
それでは、また。
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