亜鉛でALPが増加する?身長が伸びないのは〇〇のせい?【身長先生】
医師医学博士、整形外科専門医・身長先生こと田邊です。
今回は、亜鉛でALPが増加する?身長が伸びないのは〇〇のせい?というテーマでお話していきます。
私のブログを読んでいる方はかなり勉強されている方が多いので、この内容はかなりハイレベルですが、おそらく多くの方に見ていただけるのではないかと思っております。
論文の概要
今回紹介させていただく論文はこちらです。
Effect of Zinc Supplementation on GH, IGF1, IGFBP3, OCN, and ALP in Non-Zinc-Deficient Children
引用元: Journal of the American College of Nutrition
Non-ZincDeficentということで、亜鉛が欠乏していない子どもに亜鉛を投与したらどうなったの?というような内容の論文になってきます。
2015年に発表された論文で、Journal of the American College of Nutritionという雑誌に載った論文になります。
ブラジルのリオのFederal大学の先生でErika Dantas先生が書いてくださった論文になります。
この論文を見ていきたいと思います。
まず最初に書いてあるのが、どういった理由でそういった治療を行ったのかというと、亜鉛は子供の成長と大きく関係がありそうだが、実際問題亜鉛がどういう風に関係しているのかよく分かっていない。
「eutrophic」という単語を使っているのですが、栄養がすでに足りている子に亜鉛を投与したらどうなったのか分からないから、そういったのを私は調べました、という非常にユニークで新しいものという記載があります。
具体的に言うと、GH(成長ホルモン)だったり、IGF1(insulin-like growth factor1)、成長ホルモンと類似するようなホルモンです。
IGFBP3(insulin-like growth factor binding protein3)、OCN(osteocalcin)、そしてALP(alkaline phosphatase)、こういったところを見たという形になります。
今回アルカリフォスファターゼ(ALP)に着目をしたいと思うのですが、なぜでしょうか?
「どれだけ身長が伸びますか?」という質問を受けたらどういう風に答えますでしょうか?
私は
骨年齢×ALP
このように表現しています。
骨年齢に該当するのは車で言うところの「時間」に該当するわけですね。
「車はどれだけ走りますか?」という質問を受けたら、時間×スピード。
だとすれば時間に該当するのが「骨年齢」で、スピードに該当するのが「ALP」という形になります。
早熟・晩熟に影響するのが骨年齢ですよね。
晩熟の子であれば時間が長いわけで、早熟の子であれば時間が短い。
それに対してスピードが大事ということになります。
車でも同じ30分を走るのであれば、50km/hの車より100km/hの車の方が遠くに行けるでしょう、そういった意味になるわけです。
つまりALPを上げることによって身長を伸ばせるかもしれない、ということが言えるわけで、その関係性をこの論文で調べているような形になります。
論文の研究方法
さらに深く読み込んでいくと、40人の学校に通っている子供たちが対象になったそうです。
男の子:23人
女の子:17人
対象年齢:8〜9歳
治療期間:3ヶ月
経口投与や経静脈的な投与が行われて、採血を行って、それらが効果があったかというところを見たそうです。
ということで結果を見ていきましょう。
論文の研究結果と考察
治療結果はこちらです。
①タンパク質や脂質の消費量が上がった
②亜鉛の血中濃度が上がった
③ALPの濃度が上がった
④IGF1とか他の部分に関しても関係性があった
ただし成長ホルモン自体が上がったわけではなかった、という風に記載があります。
ということでこれらの結果を踏まえて著者の意見としては、
Zinc supplementation stimulated an increase in the consumption of some macronutrients and basal serum zinc and improved plasma alkaline phosphatase levels.
Zinc administration increased hormones of the GH-IGF1 system.
亜鉛のサプリメントによって
・アルカリフォスファターゼ
・栄養素の改善
・血中の亜鉛
そういったところが改善しました。
しかも亜鉛投与によって成長ホルモンが直接増加したわけではないが、成長ホルモン関係のホルモンが上昇したという結果になっています。
ということで、今回2015年の論文を紹介させていただきました。
こちらの論文を見させていただいても、亜鉛が欠乏しないお子さんに関しても、亜鉛を適正量投与することによってALPを改善としたGH-IGF1経路を改善することによって、身長にとってプラスに働く可能性がある、そんな風にお伝えできるかもしれないと思いました。
まとめ
以上参考になりましたでしょうか。
今後も身長に関することを全身全霊で配信していきます。
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