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思春期コントロール治療が効果的な理由をわかりやすく解説【身長先生】

[2024.06.23]

 

2024年2月22日KADOKAWA出版より発売中

身長びよ~ん。

医師医学博士整形外科専門医身長先生こと田邊です。

本日も全身全霊で身長に関することを発信していきたいと思います。

 

今回のテーマは、「身長先生式成長ホルモン治療、思春期コントロール治療について」です。

具体的にいうと、プリモボランやリュープリンという薬に関して解説していきます。

 

思春期コントロール治療が気になる方はぜひ最後までご覧ください。

思春期コントロール治療が効果的な理由をわかりやすく解説【身長先生】

【目次】

 

 

思春期コントロール治療が身長治療に有効な理由

 

まず、なぜ思春期コントロール治療が身長治療に有効なのかというと、早熟よりも晩熟のほうが身長が高いという原理に基づいているためです。

 

思春期コントロール治療が効果的な理由をわかりやすく解説【身長先生】

図1

 

こちらのグラフは、縦軸が伸び率、横軸が時間です。(図1)

黄色の部分の面積が、そのお子さんの最終身長を表しています。

身長治療の目的は、この面積を最大化することにあります。

 

成長ホルモンを投与すれば、一時期伸び率が上がり、その分面積が大きくなるということです。

栄養補助のサプリメントも同様です。

 

思春期コントロール治療が効果的な理由をわかりやすく解説【身長先生】

図2

 

思春期が早く出た場合は、山が手前に来て赤のようなグラフになります。(図2)

面積も小さく、最終身長が低くなることが分かるかと思います。

 

これを改善するために横軸を伸ばします。

つまり、それが思春期を遅らせる治療の意味合いということです。

 

ここで皆さんにぜひ覚えておいていただきたいのが、成長ホルモンやサプリメントに関しては縦軸(伸び率)を改善するものということです。

 

思春期コントロール治療の方法とは

 

先ほど思春期コントロール治療は横軸を伸ばすものとお話しましたが、どうやって伸ばすかがポイントです。

思春期コントロール治療では、プリモボランやリュープリンを使用しており、どちらも性腺に影響します

どういうことかというと、男性ホルモンを抑えるものになります。

 

ここでは、プリモボランとリュープリンについて少し細かく説明していきたいと思います。

 

①プリモボランとは

 

プリモボランはステロイドの薬であり、肝機能障害が起こりやすいといえます。

栄養補充とセットでやることも多く、その分肝臓に負担がかかるため注意が必要です。

 

また、プリモボランは男性ホルモンのような物質でできています。

飲むことで「自分のなかに男性ホルモンが出ているんだ」と身体が勘違いして、内因性(自分の身体から出る)の男性ホルモンが分泌しなくなります。

 

プリモボランは骨端線への働きはほぼなく、骨端線を閉じずに自分の男性ホルモンを出ないようにできる都合の良い薬です。

実際に投与している例は何例もあり、骨端線の成熟をかなり抑えられているのが確認できています。

 

飲み方に関しては、「1日2回飲んでください」という先生もいらっしゃるかと思います。

ですが、こちらは半減期が非常に長いため、基本的には1日1回でかまいません。

 

飲み方に関しては、夕食後か寝る前にといった説明を行っているかと思います。

こちらも厳密に時間を守らないといけないというわけではなく、「そういった時期に飲むので十分ですよ」といった説明で良いでしょう。

 

また、プリモボランは声を低くする作用があるため、女性には使用していません。

女性に関しては次のリュープリンだけ使用しています。

 

プリモボランの使用はドーピングに該当するため、将来プロスポーツ選手を目指している方に関しても避けてください。

 

②リュープリン

 

リュープリンは、脳の下垂体という部分から「男性ホルモン」や「女性ホルモン」を出すよう指示するホルモンが出るのを停止させる働きがあります。

 

また、こちらのプリモボランと違う点は、用量です。

こちらは4~6週間に1回のものであり、基本的に単剤の使用は勧めません。

ただし、思春期早発症といった横軸に極端な問題がある場合に関しては使用して良いです。

 

そのほかには点鼻のスプレキュアという薬もあります。

この薬は現在取り扱ってはいませんが、今後主流になってくるものではないかと思います。

そういった意味でも今後注目していただくと良いでしょう。

 

現状としては飲み薬か注射での治療になるかと思います。

 

プリモボランとリュープリンを投与することで、横軸(時間軸)が改善し、最終身長の面積が大きくなります。

 

思春期コントロール治療はどれくらい身長を伸ばせるか

 

思春期コントロール治療でどれくらい身長を伸ばせるかというと、単剤使用の場合でも最大5cmくらい改善できます。

どういうことかというと、1年間くらい思春期が来ていなかったようにデータ上できるということです。

 

ただし、概念としては、プリモボランやリュープリンを併用していくということが重要です。

 

思春期コントロール治療が効果的な理由をわかりやすく解説【身長先生】

図3

 

先ほどもお話した最終身長の面積は、縦軸と横軸の両方を改善すると一気に広くなります。(図3)

片方だけの軸を改善するよりも両方改善するほうがより面積は大きく変わるのはお分かりいただけるかと思います。

 

そのため、身長治療では、思春期コントロール治療だけでなく、成長ホルモンまたやサプリメントと併用することが重要です。

一方で、肝機能障害起こり得るため、十分注意が必要です。

 

費用は自費診療であり、数十万程度とご理解いただけたら良いかと思います。

 

身長先生式成長ホルモン治療に関する質問

 

ここでは、身長先生式成長ホルモン治療に関してよく患者さんからいただく質問にお答えしていきたいと思います。

 

Q1.成長ホルモンは骨端線が閉じるまで、推奨2年と聞きました。2年経過後も続けたい場合は、どれくらいの年数やり続けたら良いですか?

 

A.

どれくらいの期間治療したほうが良いか、開始年齢とあわせてお答えしたいと思います。

 

まず、開始時期については、思春期コントロール治療は思春期に入ってから行います。

女の子で思春期早発症に近ければ9歳くらいからかもしれませんが、基本的には一番早くても10~11歳から開始します。

 

治療期間に関しては、成長ホルモンの場合、むやみに5年、10年はしません。

今回は成長ホルモンに関する記事ではないため、細かい部分はお話しませんが、薬を無駄に投与し続けることを避けたほうが良いからです。

 

サプリメントに関しては、続けたとしてもマイナスの側面は正直ありません。

よほどのことがない限り、ずっと行っても良いでしょうという説明をします。

 

思春期コントロール治療は、成長ホルモンほどは厳しく取り締まる必要はないものの、サプリメントよりは期間を定めたほうが良いです。

なかでもプリモボランはステロイド剤のため、注意が必要です。

 

期間としては、どのお薬でも最低1年間は投与したほうが良いでしょう。

 

身長は1年間で何cm伸びるのかというと、通常だと4~5cmといった数cm、成長期だと5~10cmでしょう。

1年間の治療でそこを1.5倍などになるようにしていきます。

 

ですが、やはり思春期コントロール治療の場合だと横軸(時間軸)を増やすもののため、1年間くらい治療を行わないと差は出ません

そのため、思春期コントロール治療の場合は最低でも1年間行いましょう。

長くて大体2、3年くらいが多いです。

 

4年がいけないというわけではないものの、グラフの中でどこのフェーズにいるのかを確認しながらやるのが重要です。

 

成長ホルモンの場合だと、一番多く推奨するのは2年間で、長くて3年行っています。

 

Q2.リュープリン単剤がだめな理由は何ですか?

 

A.

プリモボランとリュープリンだと、プリモボランのほうが使う機会は圧倒的に多いです。

リュープリンは横軸(時間軸)を改善しますが、縦軸(伸び率)は少しマイナス方向に動きます

 

先ほどもお話したように、縦軸と横軸を改善すると面積が大きくなります。

横軸を伸ばしたときに縦軸が仮に少し下回ったら、最終身長の面積があまり変わらないのはお分かりいただけたかと思います。

 

逆にいうと、少し早熟な程度だと、治療をしても最終身長の面積はあまり変わらないでしょう。

そのため、リュープリンはかなり早熟な場合以外は成長ホルモンと併用しないと意味がないといえます。

リュープリンは横軸をしっかりと改善する効果があるため、併用して使えば改善効果もより大きくなるでしょう。

 

リュープリンは縦軸を少しマイナスにしてしまうと言いましたが、プリモボランは縦軸を上乗せする作用があります。

これは、プリモボランに蛋白同化作用という体を大きくする作用を含んでいるということがいえます。

そのため、プリモボランに関して言うと単剤での使用は理論上可能です。

 

まとめ

 

今回は身長先生式成長ホルモン治療の思春期コントロール治療について解説しました。

 

  • 思春期コントロール治療は、早熟よりも晩熟のほうが身長が高いという原理に基づいている
  • 思春期コントロール治療には、プリモボランやリュープリンを使用する方法がある
  • プリモボランはステロイド剤で肝機能障害に注意する必要がある
  • リュープリンは単剤使用は伸び率を下げてしまうため、併用で使用することが重要
  • 思春期コントロール治療は、成長ホルモンや栄養補充と組み合わせるとより最終身長を伸ばせられる

 

いかがでしたでしょうか。

最後までご覧いただきありがとうございました。

 

 

これからも身長に関することを全身全霊で配信していきますので、身長先生ブログ身長先生YouTubeのチェックをお願いいたします。 

 

 

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