四十肩の治し方と対処法!専門医が解説する症状と自宅でのケア
肩の痛みに悩まされていませんか?
「四十肩」という言葉を聞いて、ピンとくる方も多いのではないでしょうか。
実は、この厄介な症状、決して「お年寄りの病気」ではありません。
40代、50代の働き盛りの方々にも忍び寄る、厄介な"肩の魔物"なのです。
本記事では、四十肩の症状や原因、自宅でのケア方法から医療機関での治療まで、新しい知見をもとに解説します。
目次
四十肩について~症状と原因を理解しよう~
四十肩は正式名称では「肩関節周囲炎」といって、多くの中高年の方々が経験する肩の痛みを伴う症状です。
この症状を理解し、適切に対処するためには、その特徴や経過を知ることが重要です。
ここでは、四十肩の一般的な症状と経過、考えられる要因、そして症状の進行段階について詳しく説明します。
- 四十肩の一般的な症状と経過
- 四十肩の考えられる要因
- 炎症期・拘縮期・解凍期について
それぞれ見ていきましょう。
四十肩の一般的な症状と経過
四十肩の主な症状は、肩の痛みと動きの制限です。
具体的には以下のような症状が現れます。
- 肩の外側や上腕部の痛み
- 腕を上げる動作での痛みや困難
- 夜間の痛みによる睡眠障害
- 肩を後ろに回す動作の制限
これらの症状は通常、徐々に進行し、数か月から1年以上続くことがあります。
多くの場合、適切な対処や治療により症状は改善しますが、個人差があるため、医療機関での相談が重要です。
四十肩の考えられる要因
四十肩は、原発性(特発性)と続発性に分類されます。
原因は完全には解明されていませんが、海外の論文では以下のような要因が関連していると報告されています。
参考文献)Chan HBY, Pua PY, How CH. Physical therapy in the management of frozen shoulder. Singapore Med J. 2017 Dec;58(12):685-689. doi: 10.11622/smedj.2017107. PMID: 29242941; PMCID: PMC5917053.
- 原発性(特発性)四十肩:他の全身疾患が関連する場合がある
- 糖尿病(最も一般的で、発生率は10〜36%)
- 甲状腺疾患
- 副腎疾患
- 心肺疾患
- 高脂血症
- 続発性四十肩:外傷性または非外傷性の肩の病変を伴う
- 骨折
- 脱臼
- 軟部組織損傷
- 変形性関節症
- 腱板損傷
- 石灰性腱炎
これらの要因が単独または複合的に作用し、肩関節周囲の炎症や拘縮を引き起こすと考えられています。
また、加齢による肩関節の変化や、長期間の同じ姿勢・動作の繰り返しなども関連する可能性があります。
四十肩の予防や早期発見のためには、特に糖尿病などの全身性疾患の管理や、日常生活での肩の使い方、姿勢にも注意を払うことが重要です。
また、肩に関連する外傷や疾患がある場合は、適切な治療と管理が必要です。
炎症期・拘縮期・解凍期について
四十肩の症状は、一般的に3つの段階を経て進行します。
- 炎症期:初期段階で、激しい痛みが特徴。肩を動かすと痛みが強くなる。(約2〜9ヶ月)
- 拘縮期:痛みは和らぐが、肩の動きが著しく制限される。この時期が最も長く続く。(約4〜12ヶ月)
- 解凍期:徐々に肩の動きが改善し、痛みも軽減する。(約5〜26ヶ月)
各段階に応じた適切なケアや治療が重要です。
症状や経過は個人差が大きいため、医療機関で相談するようにしましょう。
四十肩の対処法~自宅でできるセルフケア~
四十肩の症状改善には、適切な自宅でのケアが欠かせません。
ここでは、日常生活での工夫や痛みを和らげるセルフケア、そして生活習慣の見直しポイントについて解説します。
これらの方法を実践することで、症状の緩和や回復の促進が期待できるでしょう。
- 日常生活での動作の工夫と注意点
- 痛みを和らげるためのセルフケアの例
- 生活習慣の見直しポイント
それぞれ詳しく見ていきましょう。
日常生活での動作の工夫と注意点
四十肩の症状がある場合、日常生活での動作に気をつけることで、痛みを軽減できる可能性があります。
以下のような工夫を心がけましょう。
- 腕を上げる動作を控える:洗濯物を干す際は、踏み台を使用する
- 重い物を持つ際は、両手で持つか、体に近づけて持つ
- 睡眠時は、患側を下にしない姿勢を意識する
- ドアの開閉など、腕を後ろに回す動作を最小限に抑える
これらの工夫により、肩への負担を軽減し、症状の悪化を防ぐことができます。
ただし、過度に動きを制限しすぎないよう注意が必要です。
痛みを和らげるためのセルフケアの例
自宅でできる痛みを和らげるケア方法には、以下のようなものがあります。
- 温熱療法:入浴やホットパックで肩を温める
- アイシング:急性期の痛みや腫れがある場合に氷のうなどで冷やす
- ストレッチ:痛みの範囲内で軽いストレッチを行う
- マッサージ:肩周囲の筋肉をゆっくりとマッサージする
これらのケアは、痛みの程度や症状の段階に応じて適切に行うことが大切です。
無理をせず、痛みが強くなる場合は中止し、医療機関に相談することをおすすめします。
生活習慣の見直しポイント
四十肩の予防や症状改善のために、以下のような生活習慣の見直しが効果的です。
- 姿勢の改善:デスクワークなどでの長時間の同じ姿勢を避ける
- 適度な運動:ウォーキングなどの全身運動を定期的に取り入れる
- ストレス管理:十分な睡眠や休息を取り、ストレスを軽減する
- 栄養バランス:バランスの良い食事で、関節の健康をサポートする
これらの習慣を日常生活に取り入れることで、肩の健康維持につながるでしょう。
ただし、急激な生活習慣の変更は避け、徐々に改善していくことが大切です。
四十肩の治療方法~医療機関での対応について~
四十肩の症状が持続したり、日常生活に支障をきたす場合は、医療機関での診察が必要となります。
ここでは、医療機関での対応について、診察・検査の内容、一般的な治療オプション、そして治療期間と経過観察の重要性について解説します。
- 診察・検査で行われること
- 四十肩に対する治療の種類
- 治療期間の目安と経過観察の重要性
それぞれ詳しく見ていきましょう。
診察・検査で行われること
医療機関を受診すると、以下のような診察や検査が行われる可能性があります。
- 問診:症状の経過や日常生活での困難な動作などを詳しく聞き取る。
- 視診と触診:肩の腫れや変形、筋肉の硬さなどを確認する
- 関節可動域検査:肩の動きの範囲や制限を調べる。
- 画像検査:必要に応じてレントゲンやMRIなどの検査を行い、骨や軟部組織の状態を確認する。
これらの診察・検査により、四十肩の程度や他の疾患との鑑別を行い、適切な治療方針を立てていくことになります。
四十肩に対する治療の種類
四十肩の治療には、症状の程度や進行段階に応じて様々な方法があります。
以下に四十肩に対する一般的な治療方法を紹介します。
- 理学療法:ストレッチや運動療法を行い、肩の機能回復を目指します。
- 薬物療法:痛みや炎症を抑えるため、内服薬や外用薬を使用することがあります。
- 注射療法:炎症を抑えるため、ステロイド注射などを行う場合があります。
- 温熱療法・寒冷療法:症状に応じて、温めたり冷やしたりする治療を行います。
これらの治療は、患者さんの状態に合わせて、単独または組み合わせて行われます。
治療方針については、担当医師と相談しながら決定していくことが大切です
治療期間の目安と経過観察の重要性
四十肩の治療期間は個人によって異なり、数か月から1年以上かかることがあります。
症状が徐々に改善していくため、定期的な経過観察が大切です。
治療中は、肩の動きや痛みの変化を確認しながら、医師と相談しつつ治療内容を調整していきます。
治療開始後は、定期的に経過観察を行うことが重要です。
症状の変化や改善度合いを確認し、必要に応じて治療方針を調整していきます。
経過観察では、以下のような点をチェックします。
- 痛みの程度や頻度の変化
- 肩の動きの改善状況
- 日常生活動作の改善度
焦らず、医師の指示に従いながら治療を続けることが、四十肩からの回復への近道となるでしょう。
症状の改善が見られない場合や、新たな症状が現れた際は、速やかに担当医に相談することをおすすめします。
四十肩の回復と予防
四十肩からの回復と再発予防には、適切な運動療法と日常生活での注意が欠かせません。
ここでは、医師の指導下での運動療法、日常生活での肩の健康維持のヒント、そして定期的な検診の重要性について解説します。
- 医師の指導下での運動療法について
- 日常生活での肩の健康維持のヒント
- 定期的な検診の重要性
それぞれ詳しく見ていきましょう。
医師の指導下での運動療法について
四十肩の回復には、適切な運動療法が効果的です。
ただし、これらの運動は必ず医師や理学療法士の指導のもとで行うことが重要となります。
運動療法の主な目的は以下の通りです。
- 肩関節の可動域を改善する
- 肩周囲の筋肉を強化する
- 肩甲骨の動きを滑らかにする
具体的な運動内容は、症状の程度や回復段階によって異なりますが、一般的には以下のようなものがあります。
- コッドマン体操:体を前かがみにして腕を振り子のように動かす運動
- 壁這い運動:壁に手をつけて少しずつ高く伸ばしていく運動
- ストレッチポール運動:ストレッチポールを使用して背骨を動かす運動
これらの運動は、痛みを伴わない範囲で徐々に行うことが大切です。
無理をして痛みが強くなる場合は、すぐに中止し医師に相談しましょう。
日常生活での肩の健康維持のヒント
四十肩の再発予防や肩の健康維持のために、日常生活で心がけるべきポイントがあります。
- 姿勢を意識する:猫背や肩の凝った姿勢を避け、リラックスした姿勢を保つ
- 適度な運動を取り入れる:ウォーキングやスイミングなど、全身運動を定期的に行う
- ストレッチを習慣化する:朝晩の数分間、軽いストレッチを行う
- 睡眠姿勢に気をつける:横向き寝の場合は、枕で肩をサポートする
また、デスクワークが多い方は、1時間に1回程度は軽く肩を動かすなど、長時間同じ姿勢を続けないよう注意が必要です。
定期的な検診の重要性
四十肩の回復後も、定期的な検診を受けることが大切です。
検診では以下のような点をチェックします。
- 肩の可動域や痛みの有無
- 日常生活での不便さの程度
- 再発の兆候がないか
定期的な検診により、早期に問題を発見し、適切な対処を行うことができるでしょう。
また、医師からの専門的なアドバイスを受けることで、より効果的な予防策を講じることが可能となります。
検診の頻度は個人の状態によって異なりますが、一般的には3〜6ヶ月に1回程度が目安となります。
ただし、何か気になる症状がある場合は、検診の時期を待たずに受診することをおすすめします。
四十肩の回復と予防は、専門家の指導と自己管理の両方が重要です。
焦らず、継続的に取り組むことで、肩の健康を長期的に維持できるはずです。
まとめ
四十肩は多くの方が経験する肩の痛みを伴う症状ですが、適切な対処と治療により改善が期待できます。
ここでは、これまでの内容を簡潔にまとめます。
- 四十肩の理解
- 症状は肩の痛みと動きの制限が主
- 原因は明らかではないが、原発性(全身疾患が関与)と続発性(外傷性、または非外傷性の方疾患が関与)に分かれる
- 炎症期、拘縮期、解凍期の3段階で進行
- 自宅でのセルフケア
- 日常動作の工夫で肩への負担を軽減
- 温熱療法やストレッチなどで痛みを和らげる
- 生活習慣の見直しで予防と回復をサポート
- 医療機関での治療
- 適切な診察・検査で状態を正確に把握
- 理学療法や薬物療法など、症状に応じた治療を実施
- 治療期間は個人差が大きく、経過観察が重要
- 回復と予防
- 医師の指導下で適切な運動療法を行う
- 日常生活での肩の健康維持を心がける
- 定期的な検診で再発を予防
四十肩の改善には時間がかかることがありますが、焦らず継続的に取り組むことが大切です。
症状が気になる場合は、早めに医療機関を受診し、専門家の助言を得ることをおすすめします。
適切なケアと治療、そして日々の予防策を組み合わせることで、肩の健康を取り戻し、快適な日常生活を送ることができるでしょう。
肩の痛みでお悩みの方は、ぜひこの記事を参考に、自分に合った対処法を見つけてみてください。
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