腱板断裂と五十肩の違いとは?原因や手術について詳しく解説!
五十肩と腱板断裂、違いはなくて結局同じようなものでしょ?と思っているあなた。
これは要注意です!
この記事を読んで、自分が間違えていないか要チェックしてみてください。
東京神田整形外科クリニック、理学療法士主任の石山こと石Pです。
今回は腱板断裂と五十肩の違いについてと、腱板断裂の原因や手術するべきかどうかも解説していきます。
腱板断裂とは?
肩の筋肉はインナーマッスルといって、肩の関節を安定させる作用を持つ筋肉です。
これが肩の奥深く、内側の方に付いています。
対してアウターマッスルというのは、関節を動かす時に作用する筋肉です。
肩の表面に付いている筋肉がアウターマッスルになります。
腱板断裂というのは、最初に説明したインナーマッスル、つまり肩の内側の筋肉が剥がれてしまったりだとか、筋肉に穴が開いてしまったりすることです。
図1
腱板断裂の原因
インナーマッスルとは主に4つあります。
①棘上筋
②棘下筋
③小円筋
④肩甲下筋
「なんで断裂してしまうの?」ということで、この原因ですが、3つあります。
①外傷歴
②加齢
③利き腕かどうか
①肩の怪我をしたことがあるかどうかで、断裂のしやすさが変わります。
当然したことがある人の方が断裂しやすくなります。
②加齢によって筋肉の組織が硬くなってしまったりすることで、断裂がしやすくなります。
③利き腕の方が断裂を起こしやすい、という風に言われています。
腱板断裂と五十肩の違い
腱板断裂と五十肩の違いなのですが、こちらも3つあります。
1つ目は、外傷は当てはまりませんが、それ以外が原因の場合、加齢と利き腕かどうかが原因の場合です。
この時は意外と痛みが少ないことが挙げられます。
五十肩では強い夜間痛が特徴ですが、腱板断裂がゆっくり進行した場合、痛みがないことも多いです。
そもそも痛みもなく、きっかけが分からなくて断裂して、「肩が全然上がらない」ということもあります。
2つ目は、自力での肩の曲げ伸ばしに痛みが伴うかどうかです。
「自動運動」、自分で動かす運動とも言われますが、自分で肩を動かした時、特に下ろす時が腱板断裂では痛む場合が多いです。
3つ目は拘縮です。
肩が固まってしまって動かなくなってしまうというのが拘縮ですが、五十肩では拘縮は大きな特徴になります。
腱板断裂では比較的少ないと言われています。
五十肩では自分で動かしても人に動かされても、いずれにしても硬いですが、腱板断裂は他動=人に動かされた時は”意外と動く”のが特徴です。
腱板断裂は手術するしかない?
この腱板断裂ですが、基本的に自然にくっつくことがなかなかありません。
腱板というのは、常に腕の重さが直に掛かっています。
腕がぶら下がったり運動が上手くできるのは、腱板のおかげなんです。
腱板に穴が開いたり裂けてたりするとします。
そうすると腕の重さが掛かる方向というのは、基本的には裂け目を広げる方向に力が掛かかってしまいます。
図2
なのでなかなか治癒しにくいということです。
「ではどうするの?」
「手術するしかないの?」
という話になると思いますが、もちろん完全に断裂している場合、これはやはり手術が第一選択になってきます。
しかしながら腱板断裂というと、「ものすごく重症な感じがする」と思いますが、こんな報告があります。
日本のとある自治体に住んでいる方々を693人検査しました。
平均年齢は57.9歳。
腱板断裂の有無を確認したところ、なんと20.7%に断裂があったとのことでした!
これすごくないですか!?
しかもその中には「全く何の症状もないよ」という人が、16%いたとのことでした。
色々びっくりですよね。
まず600何人普通に住んでいる人たちを検査したら、2割は切れているというのはすごいびっくりしますよね。
つまり腱板断裂というのは、意外と身近に起こりやすいんです。
そうやって症状もなく来れているけど過ごしている人もいるということで、手術が必ず第一ではないということですね。
ということは、多く占めるのは手術は必要ではないけれど、「生活には結構困っている」「何かしら困っている」こういった人が多数いることが分かります。
そこで大事なことは・・・後半でお伝えします。
腱板断裂で大事なこと
やはりここで五十肩のリハビリ知識が活きてきます。
腱板断裂が軽度で、最初は普通に生活をしていたとしても、時間が経過すれば拘縮=固まってしまうようなことというのは起こり得ます。
そうなると五十肩と似たような病態になっていくことが予想されます。
そんな方々はやっぱりリハビリが必要なんです。
こちらのアメリカの論文でも、1年間のフォローアップ後に手術をした場合の人と、リハビリをした方の痛みの軽減において、有意な差がなかったと言われています。
また、腱板断裂の初期治療というのは保守的なアプローチが大事だと言われており、論文内では理学療法、つまりリハビリを推奨しています。
「リハビリで何を行うの?」となると思いますが、これはいつも行っている段階的なリハビリです。
「痛みがじっとしていてもある」「寝ていても痛い」という時には、基本的には運動はしません。
痛みの管理方法をお伝えしたり、どうやってこの期間を短く過ごすか、または凌ぐかというのが大事になってきます。
痛みがなくなってきたら、今度はどういった動きが痛いのか・できないのかというのをチェックして、そこから運動を実際に行っていきます。
この辺りは段階別に適した運動をたくさんご紹介していますので、ブログやYouTubeのプレイリストから御覧ください。
まとめ
以上、五十肩と腱板断裂についての解説でした。
引き続き五十肩について発信していきますので、記事のチェックをお願いいたします。
五十肩専門YouTubeチャンネルではすでに数多くの動画をアップしていますので、チャンネル登録や高評価などよろしくお願いいたします。
実際に五十肩リハビリを行ってみたい方は、ぜひ理学療法士の石山こと石Pをご指名ください!
以上、理学療法士の石Pでした!