半月板損傷でやってはいけないこと!整形外科医が解説する正しい対処法
半月板損傷でやってはいけない動作や行動をご存知でしょうか。
膝の痛みや違和感を感じている方は、適切な対処法を知ることが重要です。
この記事では、整形外科の診療で実際によく聞かれる「半月板損傷でしてはいけないこと」について、具体的な動作や日常生活での注意点を詳しく解説します。
正しい知識を身につけて、膝の機能低下を防ぎましょう。
【目次】
当院では膝の再生医療治療に力を入れております。
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半月板損傷の基礎知識と避けるべき行動
半月板損傷でやってはいけないことを理解するため、まずは基礎知識を確認しましょう。
半月板損傷には、大きく分けて3つのポイントがあります。
- 損傷の種類と程度による制限の違い
- 適切な対処の重要性
- 放置した場合のリスク
これらのポイントについて、順を追って解説していきます。
半月板損傷の種類と重症度
半月板損傷は、大きく分けて急性損傷と変性断裂の2種類に分類できます。
急性損傷は、スポーツなどで膝を強くひねった際に発生しやすく、若い方に多い傾向にあります。
一方、変性断裂は加齢による組織の弱まりが原因で、中高年の方に多く見られる損傷です。
損傷の重症度は、断裂の形や大きさによって異なります。
断裂のパターンは以下のとおりです。
- 剥離損傷:剥がれるように損傷した状態
- 縦断裂:縦方向に断裂した状態
- 水平断裂:水平方向に断裂した状態
- 横断裂:横方向に断裂した状態
- バケツ柄断裂:バケツの柄のような形に見える損傷。縦断裂がひどくなったような状態。
軽度な場合は保存療法での改善が期待できますが、重度の場合は手術の検討が必要となることもあるでしょう。
半月板損傷の治療方法を決定するときには、損傷した部位を参考にすることも多いです。
- Red-red zone(①)
- 血流が最も豊富な外縁部
- 自然治癒が期待できる
- 保存療法が有効な部位
- Red-white zone(②)
- 血流が中程度の中間部
- 症状や断裂の状態により治療法を選択
- 場合により手術が必要
- White-white zone(③)
- 血流が乏しい内側部
- 自然治癒が難しい
- 多くの場合、手術が必要
引用:荻野哲男ら.2017
このように、損傷部位の血流状態によって治癒力と治療方針が異なります。
一般的に、外側(①)から内側(③)に向かうほど重症度が高くなり、より積極的な治療介入が必要となります。
なぜ適切な対処が重要なのか
半月板損傷で適切な対処を行わないと、膝の機能が著しく低下する可能性があります。
半月板には2つの重要な役割があります。
- 膝関節の安定性を保つ
- 歩行時などの衝撃を和らげる
詳しくは次の章で解説しますが、半月板損傷を放置してしまうと、以下のような状態に発展する可能性があるのです。
- 膝の痛みが慢性化
- 関節軟骨が徐々に傷む
- 階段の上り下りが困難になる
- 日常生活に支障が出る
そのため、特に発症初期の適切な対応が重要です。
早期の整形外科受診と適切な治療により、膝関節の機能低下を防ぎ、よりスムーズな回復が期待できます。
放置するとどうなるのか
さきほども少し触れましたが、半月板損傷を放置した場合、症状が進行し、より深刻な症状が出現する可能性があります。
放置による主な影響として、以下のような症状が挙げられます。
- 膝の痛みや違和感の悪化
- 関節軟骨の損傷・摩耗
- 膝の不安定性の増加
- 膝のロッキング(引っかかり)
- 階段昇降時の激痛
- 夜間痛の出現
さらには、半月板損傷を放置することで、変形性膝関節症を引き起こすリスクにもなってしまうのです。
早期の適切な治療と、医師の指示に従った生活管理が、症状改善の鍵となります。
半月板損傷でやってはいけない具体的な動作とその理由
半月板損傷の悪化を防ぐため、避けるべき動作について解説します。
主に「膝への過度な負担がかかる動作」と「避けるべき運動の種類」の2つに分けて説明していきましょう。
これらの動作を控えることで、症状の進行を抑えることができます。
膝への過度な負担がかかる動作
日常生活では、知らず知らずのうちに膝に負担をかけている場面が多くあります。特に注意が必要な動作を見ていきましょう。
深いしゃがみ込み
深いしゃがみ込みは、半月板に非常に強い圧力がかかる動作です。
和式トイレの使用や、床に落としたものを拾う際のしゃがみ込みなどが該当します。
このような動作は、膝を90度以上曲げることで半月板に大きな負担がかかり、症状を悪化させる原因となるのです。
代わりに、膝をあまり曲げずに腰を落とすか、片膝をついて行うようにしましょう。
長時間の正座
正座は日本の伝統的な座り方ですが、半月板損傷がある場合は要注意です。
長時間の正座により、膝の内側に持続的な圧力がかかり続けることで、損傷部位に悪影響を及ぼすことがあります。
椅子やクッションを使用するなど、膝への負担が少ない座り方を選択しましょう。
避けるべき運動の種類
運動時には、特に注意が必要な動きがあります。
これらの動作は、半月板に急激な負担をかける可能性が高いのです。
ここでは運動時に避けるべき以下の2つの動作について解説します。
- ジャンプ動作
- 激しい方向転換
ではそれぞれみていきましょう。
ジャンプ動作
ジャンプ動作は、着地の際に膝に大きな衝撃が加わります。
特にバスケットボールやバレーボールなど、ジャンプを伴うスポーツは控えめにすべきです。
着地時の衝撃で、損傷部位に予期せぬ負担がかかり、症状が悪化する可能性があります。
激しい方向転換
サッカーやテニスなどで見られる急な方向転換は、半月板に過度なねじれの力を加えます。
このような動作は、もともとの損傷を悪化させるリスクが高く、特に注意が必要です。
運動を再開する際は、ゆっくりとした動きから始め、徐々に強度を上げていくようにしましょう。
半月板損傷で気をつけるべき日常生活での制限
半月板損傷があっても、適切な注意を払えば日常生活を送ることは可能です。
ここでは、特に気をつけたい動作と、その対処法について説明します。
正しい動作と適切な補助具の使用で、膝への負担を最小限に抑えることができるのです。
階段の上り下りの注意点
階段の昇降は、半月板に大きな負担がかかる動作の一つです。
特に下りの際は、体重による圧力が膝にかかるため、より慎重な対応が必要となります。
上り下りの際は、以下のポイントを意識しましょう。
- 手すりを必ず使用する
- 一段ずつ、ゆっくりと移動する
- 痛みがある方の足を先に出さない
- 疲労を感じたら途中で休憩する
正しい歩行方法
日常生活において、歩くことは避けられない動きですが、正しい方法で行うことで膝への負担を減らすことができます。
以下のような点に注意するといいでしょう。
歩行時の重要ポイントは以下の点です。
- 歩幅を小さめにする
- つま先は真っ直ぐに向ける
- かかとから着地する
- ゆっくりとしたペースを保つ
急いで歩く必要がある場合は、時間に余裕を持って行動するようにしましょう。
適切な補助具の使用時期
補助具は、症状や状態に応じて適切に選ぶことが重要です。
時期や状況に合わない補助具の使用は、かえって回復を遅らせる可能性があります。
補助具の選択と使用のポイントは以下の通りです。
- 杖:片側の膝に痛みがある場合に有効
- サポーター:医師に相談の上、症状に合ったものを選択
- 膝装具:重症度に応じて使用を検討
補助具の使用は、医師や理学療法士に相談しながら進めるようにしてください。
また、過度な依存は筋力低下を招く可能性があるため、リハビリの進行に合わせて使用方法を見直すようにしましょう
半月板損傷の完治を遅らせるNG行為
半月板損傷の治療において、知らず知らずのうちに回復を遅らせてしまっていることがあります。
ここでは、特に注意すべき4つのNG行為について解説します。
これらを避けることで、より効果的な治療が期待できるでしょう。
誤ったサポーターの使用
サポーターは適切に使用すれば効果的ですが、誤った使用は回復の妨げとなります。
避けたほうがいいサポーターの使い方は以下の通りです。
- サイズの合っていないものを使用
- 長時間の装着による皮膚トラブル
- 医師に相談せずに自己判断で選択
- 圧迫の強すぎるものを使用
よくあるのは、患者様やそのご家族がスポーツ用品店で購入したものを、専門家に確認しないまま使用しているパターンです。
膝の状態に対して固定が弱いサポーターをしていたり、あるいは逆に固定が強すぎるサポーターを使用していて、かえって日常生活を制限している場合もあります。
なにかサポーターを使用するときには、必ず医師に確認をとるようにしましょう。
体重管理の放置
過度な体重は膝関節への負担を増加させ、半月板損傷の回復を遅らせる原因となります。
体重管理は半月板損傷の治療で非常に重要ですので、ぜひ取り組みましょう。
体重管理における注意点は以下の通りです。
- 急激なダイエットは避ける
- 栄養バランスの取れた食事を心がける
- 可能な範囲での軽い運動を継続
- 定期的な体重測定による管理
適度に頑張ることは必要ですが、無理をしてしまうと体調の悪化を招いてしまうため、専門家のアドバイスを聞きながら行うようにしましょう。
定期的な経過観察の怠り
症状が改善してきたからといって、経過観察を怠ることは危険です。
定期的な診察では、以下のようなメリットもあります。
- 症状の変化を早期に発見できる
- 治療方針の適切な見直しが可能
- リハビリの進捗状況を確認できる
- 新たな問題の予防につながる
病院の受診を終えるときは、自分の判断で行わずに、医師のアドバイスを基に考えるようにしましょう。
医師に相談せずに行う運動
自己判断での運動は、思わぬ事態を招く可能性があります。
特に以下のような行為は控えましょう。
- インターネットの情報だけを参考にした運動
- 痛みを我慢しての継続
- 運動強度の急激な増加
- リハビリメニューの独自アレンジ
回復には適切な運動が必要ですが、それは必ず医師やリハビリ専門家の指導のもとで行うべきです。
焦らず、専門家と相談しながら段階的に活動量を増やしていくことが、確実な回復への近道となるでしょう。
まとめ
半月板損傷の治療において、適切な対処と注意点を守ることが回復への近道となります。
この記事のポイントを簡潔に振り返りましょう。
半月板の治療を行っていくうえで重要な注意点は以下の点です。
- 損傷の程度に応じた適切な対処
- 過度な負担がかかる動作を避ける
- 正しい生活動作と補助具の活用
- 定期的な経過観察の継続
回復に向けた3つの基本姿勢は以下の点を意識しましょう。
- 焦らず、段階的な回復を目指す
- 定期的な受診を継続する
- 不安な点は専門家に相談する
半月板損傷は、適切な治療とケアで改善が期待できる疾患です。
気になる症状がある場合は、ぜひ一度、整形外科へご相談ください。
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