変形性膝関節症でしてはいけない運動3選と自宅でできるリハビリ方法
変形性膝関節症は多くの方が悩む膝の疾患ですが、適切な対処法を知ることで症状の改善や進行の予防が可能です。
この記事では、変形性膝関節症の方が避けるべき3つの運動と、自宅で安全に行えるリハビリ方法を詳しく解説します。
正しい知識を身につけ、日常生活での注意点や効果的な運動法を学んで、膝の健康を維持しましょう。
【目次】
当院では膝の再生医療治療に力を入れております。
少しでもご興味を持たれた方は、当院の再生医療治療ページをご覧になってみてください。
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変形性膝関節症でしてはいけない3つの運動
変形性膝関節症の方が避けるべき運動は、主に3つです。
- 高リスクな運動:膝関節に過度な負担をかける運動
- 衝撃を伴う運動:急激な動きや衝撃を伴う運動
- 長時間の継続運動:膝に負担がかかり続ける運動
それぞれについて、詳しく説明していきます。
変形性膝関節症の概要と症状悪化のリスク
変形性膝関節症は、膝の軟骨がすり減ることで起こる疾患で、主な症状は以下の通りです。
- 膝の痛み
- 膝のこわばり
- 膝の腫れ
これらの症状は、適切な対処をしないと悪化する可能性があります。
「変形性膝関節症診療ガイドライン2023」では、以下の因子が変形性膝関節症の発症因子であると報告されています。
- 肥満(高BMI)
- 女性
- 高齢
- 膝関節の外傷歴
- 膝関節に負荷をかける仕事(農業や林業、漁業など)
特に注意すべきは肥満で、体重が増加すると膝への負担が増大してしまうため適切な管理が重要です。
運動を行う際は、体重増加に注意しながら、膝に優しい運動を選択することが大切であると言えます。
そのため、変形性膝関節症患者に運動が一律に悪いわけではありません。症状の改善や進行の予防には適切な運動は必要不可欠です。
症状の悪化リスクを軽減し、膝の健康を維持するためには、適切な運動と体重管理を組み合わせることを意識しましょう。
膝関節に負担をかける高リスクな運動
変形性膝関節症の方が避けるべき高リスクな運動には、以下のようなものがあります。
- ジャンプを伴う運動:バスケットボールやバレーボールなど
- 膝を深く曲げる運動:しゃがみ込み動作や正座など
- 階段昇降:特に下りは膝に大きな負担がかかる
これらの運動は、膝関節に大きな負荷をかけ、軟骨の摩耗を加速させる可能性があります。
代わりに、水中歩行やサイクリングなど、膝への負担が少ない運動を選ぶことが大切です。
急激な動きや衝撃を伴う要注意の運動
急激な動きや衝撃を伴う運動も、変形性膝関節症の方には適しているとは言えません。
例えば、以下のような運動は避けたほうがいいでしょう。
- 過度なランニング:特にアスファルトなどの舗装された道路での走行
- テニスやサッカーなどの方向転換の多いスポーツ
- 縄跳びなどの跳躍運動
これらの運動は、膝に急激な負荷や衝撃を与え、痛みを悪化させる可能性があるため注意しましょう。
避けるべき長時間の継続運動
長時間にわたって膝に負担をかけ続ける運動も、変形性膝関節症の方には適していません。
例えば、以下のような活動には注意が必要です。
- 長時間の立ち仕事
- 長距離ウォーキングやハイキング
- 長時間の正座
これらの活動は、膝関節に持続的な負担をかけ、痛みや炎症を悪化させる可能性があります。
適度な休憩を取りながら、膝への負担を分散させることが大切です。
また、座る際は正座を避け、椅子を使用するなどの工夫をするようにしましょう。
変形性膝関節症の人におすすめの安全な運動方法
先ほども少し触れましたが、変形性膝関節症の症状軽減と予防のためには、適切な運動を行うことは重要です。
ここでは、安全に行える運動方法を3つ紹介します。
- 低強度の有酸素運動
- 正しい筋力トレーニング
- 効果的なストレッチと柔軟体操
これらの運動を適切に組み合わせることで、症状の改善や進行の予防に役立つ可能性があります。
低強度の有酸素運動のメリットと実践方法
低強度の有酸素運動には、以下のようなメリットがあります。
- 関節の柔軟性を向上させる
- 血液循環を促進し、膝周辺の筋肉を強化する
- 体重管理に役立つ
おすすめの有酸素運動には、水中ウォーキングやエアロバイクです。
- 水中ウォーキング:水の浮力により膝への負担が軽減できる
- エアロバイク:座った状態で行えるため、膝への衝撃が少ない
いずれも、1日20〜30分程度から始め、徐々に時間を延ばしていくことをおすすめします。
正しい筋力トレーニングの手順と注意点
筋力トレーニングは、膝周辺の筋肉を強化し、関節の安定性を高めるのに効果的です。
以下の点に注意して行いましょう。
- 膝を曲げすぎない:深く曲げると負担が大きくなります
- ゆっくりと行う:急激な動きは避けましょう
- 痛みを感じたら中止する:無理は禁物です
おすすめの筋力トレーニングには、下肢挙上運動(Straight Leg Raising:SLR)があります。
仰向けに寝て、片足をゆっくり上げ下げする運動です。
1セット10回程度から始め、徐々に回数を増やしていきます。両足で行い、1日2〜3セットを目安にしましょう。
効果的なストレッチと柔軟体操のテクニック
ストレッチと柔軟体操は、関節の柔軟性を保ち、筋肉の緊張を和らげるのに役立ちます。
以下のポイントに注意して行いましょう。
- ウォーミングアップを忘れずに:軽い運動で体を温めてから始めます
- ゆっくりと行う:急な動きは避け、呼吸を整えながら行います
- 無理をしない:痛みを感じたら、すぐに中止しましょう
おすすめのストレッチは、膝を伸ばした状態で座り、つま先に手を伸ばす「ハムストリングストレッチ」です。
【方法】
- 膝を伸ばした状態で座る
- つま先に手を伸ばす
- 20〜30秒キープする
- 1〜3を3回ほど繰り返す
これにより、膝の後ろ側の筋肉が柔軟になり、動きやすくなります。
変形性膝関節症に効果的なウォーキング:正しい歩き方と注意点
ウォーキングは、変形性膝関節症の方にも適した運動の一つです。
ただし、正しい方法で行うことが重要です。ここでは、以下の3点について説明します。
- ウォーキングの膝関節への影響と効果
- 膝への負担を軽減する歩き方のポイント
- 理想的なウォーキングの頻度と時間
これらを意識し、実践することで、安全で効果的なウォーキングを楽しむことができます。
ウォーキングが膝関節に与える影響と効果
適切に行われたウォーキングは、変形性膝関節症の方にも様々な効果をもたらす可能性があります。
- 関節の柔軟性向上:適度な運動により、関節が動かしやすくなる
- 筋力強化:膝周辺の筋肉が鍛えられ、関節の安定性が増す
- 体重管理:継続的な有酸素運動は、体重コントロールをサポートする
- 心肺機能の向上:全身の血液循環が促進される
ただし、不適切な方法で行うと、膝への負担が増大し、症状を悪化させる可能性もあります。
そのため、正しい歩き方を心がけることが大切です。
膝への負担を軽減する歩き方のポイント
膝への負担を軽減しながら効果的にウォーキングを行うには、以下のポイントに注意しましょう。
- 無理しない歩幅で歩く:大股歩きは膝への衝撃が大きくなるため避けます
- かかとから着地:つま先から着地すると膝への負担が増します
- 膝を軽く曲げて歩く:膝をまっすぐに伸ばしすぎないようにします
- 姿勢を正す:背筋を伸ばし、顎を引いて前を見て歩きます
- 適切な靴を選ぶ:クッション性のある運動靴を使用しましょう
これらのポイントを意識しながら歩くことで、膝への負担を最小限に抑えつつ、ウォーキングの効果を得ることができます。
理想的なウォーキングの頻度と時間の設定方法
ウォーキングの頻度と時間は、個人の状態に合わせて調整することが大切です。
一般的な目安は以下のとおりです。
- 頻度:週3〜5回
- 時間:1回20〜30分程度
- 強度:軽く汗ばむ程度(きつさを感じたら休憩を入れる)
ただし、これはあくまで目安であり、個人の体調や症状によって適切な頻度や時間は異なります。
最初は短い時間から始め、徐々に時間を延ばしていくことをおすすめします。
また、ウォーキング中や後に痛みを感じた場合は、すぐに中止し、休養を取りましょう。
無理をせず、自分のペースで続けることが、長期的な効果につながります。
変形性膝関節症の進行を防ぐ!日常生活での5つの心がけ
変形性膝関節症の進行を防ぐには、日常生活での心がけが重要です。
ここでは、効果的な5つのポイントを紹介します。
- 正しい姿勢と動作を意識する
- 適切な体重管理を行う
- 生活環境を調整する
- 定期的な休息を取る
- 適度な温度管理を行う
これらの心がけを実践することで、症状の悪化を防ぎ、快適な日常生活を送ることができる可能性が高まります。
正しい姿勢と動作の重要性と実践方法
正しい姿勢と動作は、膝への負担を軽減し、症状の悪化を防ぐ上で非常に重要です。
以下のポイントを意識しましょう。
立つ時:膝を軽く曲げ、体重を両足に均等にかける。
座る時:背筋を伸ばし、足を床に付ける。正座は避けたほうが無難
歩く時:大股過ぎず小股過ぎず、適度な歩幅で歩き、踵から着地する。
階段昇降:手すりを使い、一段ずつゆっくり移動する。
これらの動作を意識的に行うことで、膝への負担を軽減できます。
また、日常的に姿勢をチェックする習慣をつけることも効果的です。
鏡を見て姿勢を確認したり、家族に姿勢をチェックしてもらうのもよいでしょう。
体重管理の必要性とおすすめの食事法
適切な体重管理は、膝への負担を軽減する上で非常に重要です。
最初の部分でも紹介しましたが、過度な体重は膝関節に大きな負担をかけ、症状を悪化させる可能性があります。
【おすすめの食事法】
- バランスの良い食事:野菜、果物、全粒穀物、タンパク質をバランスよく摂取する。
- カルシウムとビタミンDの摂取:骨の健康に重要。乳製品や魚、緑黄色野菜を積極的に。
- オメガ3脂肪酸の摂取:抗炎症作用あり。魚油やナッツ類がおすすめ。
- 水分補給:適切な水分摂取は関節の潤滑をサポート。
また、急激なダイエットは避け、緩やかな体重減少を目指すことが大切です。
どの程度減らしたほうがいいかは個々で違いますが、肥満症治療ガイドライン2016では、肥満症の減量目標は体重の3%とも言われています。
生活環境の調整:和式から洋式への移行のコツ
生活環境の調整は、膝への負担を軽減する上で重要です。
特に、和式トイレや布団からの移行は効果的なので、ぜひ実践してみてください。
【和式から洋式への移行のコツ】
- トイレ:和式トイレを洋式に変更する。困難な場合は簡易的な洋式トイレカバーの使用も検討。
- 寝具:低めのベッドや高めの布団を使用する。起き上がりやすい高さに調整することが大切。
- 椅子:正座を避け、適切な高さの椅子を使用する。
- 浴室:浴槽の出入りが困難な場合、シャワーチェアの利用を検討。
これらの環境調整は、一度に全てを変更する必要はありません。
できるところから少しずつ改善していくことが大切です。
また、家族の協力を得ながら進めることで、スムーズな移行が可能になります。
介護認定を取得している方は、自宅改修に補助が出る場合があるため、行政に問い合わせてみましょう。
自宅で簡単にできる!変形性膝関節症に効く運動とリハビリ
自宅で安全に行える運動やリハビリを行い、変形性膝関節症の症状軽減を目指しましょう。
ここでは、以下の3つの運動を紹介します。
- 関節可動域運動
- 膝周辺の筋力強化エクササイズ
- バランス訓練
これらの運動を適切に組み合わせることで、痛みの軽減や症状の改善が期待できる可能性があります。
ただし、運動を始める前に医療機関に相談し、自分の状態に適しているか確認することをおすすめします。
痛みを和らげる関節可動域運動の手順
関節可動域運動は、膝の柔軟性を維持し、痛みを和らげるのに役立つ可能性があります。
【手順】
- 両脚をまっすぐに伸ばし、仰向けになります。
- ゆっくりと片方の膝を曲げていきます。
- 痛みに耐えられる範囲まで曲げたら、ゆっくりと伸ばしていきます。
- 同じ動作を10回繰り返します。
- 反対側の足でも同様に行います。
この運動は1日2〜3セット行うことをおすすめします。
痛みを感じた場合は無理をせず、動作の範囲を小さくしたり、回数を減らしたりしてください。
膝周辺の筋力を効果的に強化するエクササイズ
膝周辺の筋力を強化することで、膝への負担を軽減し、症状の改善につながる可能性があります。
以下のエクササイズを紹介します。
【大腿四頭筋の強化】
- 椅子に座り、片足をゆっくりと持ち上げます。
- 5秒間保持し、ゆっくりと下ろします。
- 10回繰り返し、反対側の足でも行います。
【ハムストリングの強化】
- 椅子の背もたれを持って立ちます。
- ゆっくりと片足を後ろに上げます。
- 5秒間保持し、ゆっくりと下ろします。
- 10回繰り返し、反対側の足でも行います。
これらのエクササイズは1日2〜3セット行うことをおすすめします。
無理をせず、自分のペースで行うことが大切です。
転倒予防に役立つバランス訓練の方法
バランス訓練は、転倒リスクを軽減し、日常生活の安全性を高めるのに有効です。
以下の方法を紹介します。
【片脚立ち】
- 椅子の背もたれに手を添えて立ちます。(指先が触れる程度)
- ゆっくりと片足を上げ、バランスをとります。
- 10秒間保持し、ゆっくりと下ろします。
- 両足で5回ずつ行います。
【つま先立ち】
- 椅子の背もたれに手を添えて立ちます。(指先が触れる程度)
- ゆっくりとかかとを上げ、つま先立ちになります。
- 5秒間保持し、ゆっくりと下ろします。
- 10回繰り返します。
これらの訓練は1日1回行うことをおすすめします。
バランスを崩しそうになったら、すぐに椅子につかまるなど、安全に配慮しながら行ってください。
徐々に時間や回数を増やしていくことで、より効果的なトレーニングになります。
まとめ
変形性膝関節症の方が快適に生活するためには、適切な運動と日常生活での注意が重要です。
以下の点を心がけましょう。
- 避けるべき運動を理解する
- 膝に過度な負担をかける運動
- 急激な動きや衝撃を伴う運動
- 長時間継続する運動
- 適切な運動を取り入れる
- 低強度の有酸素運動(水中ウォーキング、エアロバイク)
- 正しい筋力トレーニング
- ストレッチと柔軟体操
- 正しい方法でのウォーキング
- 日常生活での心がけ
- 正しい姿勢と動作を意識する
- 適切な体重管理を行う
- 生活環境を調整する(和式から洋式への移行など)
- 自宅でのリハビリを実践する
- 関節可動域運動
- 膝周辺の筋力強化エクササイズ
- バランス訓練
これらの方法を適切に組み合わせ、無理のない範囲で継続的に実践することが大切です。
症状に変化がある場合や、新しい運動を始める前には、必ず医療機関に相談しましょう。
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