【専門医】膝の痛みを治すストレッチ ジグリングについて【高齢者でも簡単にできる】
皆さんこんにちは。
東京神田整形外科クリニック、膝治療責任者・理学療法士の神林です。
今回はジグリング先生こと、齋藤先生と一緒に膝に関する内容を紹介していきます。
この記事を最後まで読んでいただくと、膝の痛みを治すジグリングのやり方と効果が理解できます。
では齋藤先生よろしくお願いいたします。
ジグリングのやり方
齋藤先生
ジグリングというのは、日本語でいうと「貧乏ゆすり様運動」のことをいいます。
私の恩師である井上明生名誉教授が、2005年に日本で初めて学会で発表した言葉です。
これをやることによって変形性股関節症・変形性膝関節症の患者様に対して非常に痛みが和らぐという発表をされて、それを私が引き継いで皆様にお示しをしているところであります。
実際にどういうふうにやるのか、ジグリングのやり方を説明します。
①椅子に浅めに座る
②膝は90度以下
③ふくらはぎの筋肉でかかとを上げる
④スピードは自由
① ②
③ ④
ぶっ続けではなくて3分でも5分でもいいので、痛み・違和感が出たらすぐに休んで、そしてまた楽になったらまたやる、というように断続的なやり方でいいです。
理想は合算して1時間、欲をいえば2時間を1日でやっていただき、日常的にやることが一番のコツです。
そして我慢をしないでください。
痛み・違和感が出たらすぐに中断するようにしましょう。
日本人はすぐ「頑張りましょう」と言うと、痛みが出てもやり続けてしまう傾向があります。
特にご年配の方に多い傾向があるんですけども、我慢してはいけません。
痛み・違和感が出たらすぐに中断して結構です。
そして少し休んで楽になったらまた始める、そういう断続的な運動を続けていただいて、そして合算してトータルで1時間、欲を言うと2時間やっていただきたいです。
またポイントは、ふくらはぎの筋肉を使ってかかと上げることです。
神林
すごい簡便な運動なんですけども、このジグリングの効果、皆さん気になると思います。
その効果について齋藤先生よろしくお願いいたします。
ジグリングの効果
齋藤先生
ジグリングの効果に関しては基礎医学の方で分かっている主流の考え方として、筋肉の運動を行うと筋肉の中からPGC-1αという、医学的的に言うと転写調整因子、これが筋肉の中から分泌されます。
万病のもとになるのが「慢性の炎症」と言われるのですけれど、その炎症をPGC-1αが抑えることによって痛みが取れてくるというのが、私が一番支持している論文であります。
炎症というのは炎症サイトカインという物質が痛みを引き起こす物質なんですけども、その炎症サイトカインの生成をPGC-1αが抑えてくれるため、それによって痛みが取れてくるという仕組みです。
そしてもうひとつがセロトニンという言葉があります。
よく「幸せホルモン」と言われるのですが、これはホルモンではなくて実は「神経伝達物質」になります。
脳の中に痛みを抑えていく下行性疼痛抑制系という経路がありまして、その中でセロトニン系、ノルアドレナリン系という2つの経路があります。
セロトニンは運動をすることによって増えるというのは、もう証明されています。
そのセロトニンが増えることによって、下行性疼痛抑制系が賦活化、要するに活性化するということによる2つの経路、PGC-1αもしくはセロトニン作動系の賦活化、この2つが痛みが取れる主流だと私は考えております。
神林
すごく分かりやすい説明で、膝の痛み以外でも膝の軟骨が再生するだったりとか、生活習慣病の2型糖尿病だったりとか、高血圧症だったりとか、認知症だったりとか、そういうところにも効果があるということですね。
齋藤先生
もとになるのが、全ての病気は慢性炎症である、これが一番のベースになる考え方ですね。
神林
ありがとうございます。
たくさんエビデンスのある運動ですので、座りながらできる、または寝ながらできる、高齢者の方でも安全にできるというのはすごくメリットがたくさんありますので、ぜひ皆さんやってみてください。
何か最後に一言ありますか?
齋藤先生
今回はジグリングによる痛みが和らぐお話ですけど、軟骨の再生に関してはまた別の理論があります。
そちらはまた機会を改めてお話させていただきたいと思います。
まとめ
神林
今回は膝の痛みを治すジグリングについて、ジグリング先生こと齋藤先生と一緒に解説していきました。
今後も膝に関する情報を一生懸命配信していきますので、膝痛開放ブログのチェックをお願いいたします。
またこの記事を読んでご質問や疑問点がありましたら、膝専門YouTubeチャンネルのコメント欄までお願いいたします。
当院では公式LINEを行っていますので、そちらからのご相談も可能です。
その際は、「膝の相談」と書いてメッセージを添えてください。