四十肩の治療期間と効果的な治療法とは
四十肩は、中年以降に多く発症する肩関節の痛みと動きの制限を引き起こす疾患です。
夜間痛や腕を動かす際の激痛など、日常生活に支障をきたす症状が現れます。
適切な治療を行わないと、痛みが慢性化したり、肩関節の動きが制限されたままになる可能性もあるため、早期の診断と治療が重要です。
この記事では、四十肩の治療期間や効果的な治療法、日常生活で注意すべき点など、四十肩に悩む方にとって役立つ情報を詳しく解説します。
目次
四十肩の治療期間はどのくらい?各段階の症状と回復までの目安
四十肩の治療期間は、症状の進行状況や個人差によって異なります。
この疾患は通常、以下の3つの段階を経て回復に向かいます。
- 痛みが強い炎症期
- 関節が硬くなる拘縮期
- 徐々に回復する解凍期
それぞれの段階の症状や治療のポイント、そして回復までにかかる期間の目安について解説します。
痛みが強い炎症期の特徴と治療法
四十肩の最初の段階である炎症期は、激しい痛みが主な特徴です。
多くの患者は、夜間に痛みが強くなる「夜間痛」や、腕を特定の方向に動かした際の鋭い痛みに悩まされます。
日常生活にも大きな支障をきたすことが多いこの時期で、治療の中心となるのは痛みの緩和です。
主な治療法としては以下の方法が挙げられます。
- 消炎鎮痛剤の処方:内服薬や外用薬を用いて炎症を抑えます。
- 局所注射:肩関節へのステロイド注射などが効果的な場合があります。
- 安静の確保:過度な動きは避けつつ、必要に応じて三角巾などで負担を軽減します。
この期間は数週間から数か月続くことが一般的です。
また炎症期に痛みを我慢して動かしすぎると、後々の回復が不良であることが明らかとなっているため、炎症期は無理に動かしすぎないようにしましょう。
凍結した拘縮期の特徴と治療法
炎症期が終わると、四十肩は拘縮期に移行します。
この段階では、痛みは次第に軽減しますが、肩関節の動きが著しく制限されるのが特徴です。
具体的には、腕を上げる動作や背中に手を回す動作が困難になることが多く、日常動作に不便を感じるようになります。
この時期の治療の目標となるのは、肩の関節可動域の改善です。
具体的には、以下のような治療方法を用いて可動域の改善を図ります。
- リハビリテーション:理学療法士の指導のもと、関節や筋肉を柔らかくする運動を行います。
- 温熱療法:患部を温めることで血流を改善し、可動域を広げる効果が期待されます。
- 自主トレーニング:自宅で行う軽いストレッチやエクササイズも有効です。
拘縮期は数か月から1年程度続くことがありますが、リハビリを継続することで回復が促進されます。
解凍期の特徴と治療法
最後の段階である解凍期では、肩の痛みが徐々に消え、関節の動きも回復していきます。
この時期には、日常生活での活動量を増やし、肩を積極的に動かすことが治療の鍵となります。
ただし、無理な動きや過剰な負荷をかけると再発のリスクが高まるため、注意が必要です。
主な治療法としては以下のような方法が挙げられます。
- 活動的なリハビリテーション:負荷を少しずつ増やしながら運動を継続します。
- 筋力トレーニング:肩周囲の筋力を強化し、再発を防ぐことを目的とします。
- 日常生活への復帰:軽作業や趣味のスポーツなどを取り入れることで、肩の機能をさらに向上させます。
解凍期の期間は数か月から半年程度が一般的ですが、完全な回復には個人差があります。
病院で行う四十肩の治療法
四十肩の治療は、基本的に保存療法が中心です。
保存療法とは、手術を行わずに薬物療法やリハビリテーションを通じて症状の改善を図る治療法です。
ただし、保存療法で効果が得られない場合には、さらなる治療法が検討されることもあります。
保存療法による段階的な治療
保存療法では、四十肩の症状や進行段階に応じて治療を進めます。
初期の痛みが強い段階では、薬物療法を用いて痛みの軽減を図ることが主な目標となります。
その後、痛みが落ち着いてきた段階では、リハビリテーションを中心とした治療に移行し、肩関節の機能回復を目指します。
薬物療法による疼痛管理
薬物療法は、痛みを抑えることに焦点を当てた治療です。
具体的には以下のような方法があります。
- 消炎鎮痛剤の内服または外用薬:炎症を抑えることで、痛みの軽減を図ります。
- 局所注射:特に強い痛みがある場合、肩関節周囲にステロイド注射を行うことで効果的に痛みを緩和します。
これらの治療法は、炎症期における夜間痛や動作時の鋭い痛みを軽減し、患者様の日常生活をサポートする役割を果たします。
リハビリテーション
リハビリテーションは、四十肩治療において関節可動域の改善や筋力の回復を目指す重要な治療方法です。
理学療法士をはじめとする専門家の指導のもと、患者の状態や症状に合わせた運動プログラムを作成し、以下のような治療が行われます。
- 関節可動域運動:肩を無理なく動かし、拘縮を徐々に改善します。
- ストレッチ・エクササイズ:筋肉や関節を柔軟にすることで、動作のしやすさを高めます。
- 筋力トレーニング:肩周囲の筋肉を鍛え、再発を防ぎます。
リハビリテーションでは炎症期での積極的な介入は難しいですが、特に拘縮期から解凍期にかけての回復をサポートし、日常生活への早期復帰を目指します。
症状が改善しない場合の治療選択
保存療法を十分に行っても症状が改善しない場合、追加の治療法が検討される場合もあります。
主に挙げられる治療方法は以下のとおりです。
- 肩関節鏡視下手術:関節包の癒着を除去することで、関節の動きを回復させます。
- サイレントマニプレーション:肩に麻酔をかけた状態で、徒手的に関節包を切離させて可動域の拡大を図ります。
- 関節包への注射:肩関節内部に薬剤を注入し、炎症を抑えつつ可動域を広げる効果を狙います。
これらの治療法は、患者さんの状態や症状、これまでの治療経過を考慮して選択されます。
保存療法での結果に満足がいかないときには、医師に相談して治療方法を決めるようにしましょう。
四十肩の治療で絶対に避けるべきNG行為
四十肩の治療中には、症状を悪化させたり、回復を遅らせたりするNG行為があります。
適切な治療効果を得るためには、これらの行為を避け、正しいケアを心がけることが重要です。
悪化させる危険な動作
四十肩の治療中に最も避けるべきは、無理に肩を動かすことです。
以下の動作には特に注意してください。
- 痛みを我慢して動かす:痛みを無視して肩を動かすと、炎症が悪化し、回復が遅れる可能性があります。
- 腕を勢いよく動かす:突然の動きや大きな振りは、関節や筋肉に余計な負担をかけ、症状を悪化させるリスクがあります。
- 重い物を持ち上げる:肩関節に過度な負荷がかかり、炎症や痛みを引き起こす原因となります。
また、自己流のマッサージやストレッチにも注意が必要です。
正しい知識がないまま行うと、症状を悪化させる恐れがあるため、医師や理学療法士の指導のもとで行うようにしましょう。
すぐに病院を受診すべき症状
四十肩は通常、適切な治療を行えば自然に改善していきますが、以下のような症状が見られる場合には、早急に医療機関を受診する必要があります。
- 肩や腕の激しい痛みが続く:通常の四十肩の範囲を超える痛みがある場合は、別の病気が隠れている可能性があります。
- 肩の腫れや発熱:感染症や他の炎症性疾患が原因の可能性があります。
- 腕のしびれや筋力低下:神経圧迫や血流障害が関与している場合があります。
自己判断で症状を放置したり、治療を中断すると、症状が悪化し、肩関節の機能障害や後遺症が残るリスクが高まります。
気になる症状がある場合は、必ず医師に相談し、早期の診断と治療を受けるよう心がけましょう。
まとめ
四十肩は、肩関節の痛みと動きの制限を引き起こす一般的な疾患です。
炎症期、拘縮期、解凍期という3つの段階を経て自然に回復していくことが多いですが、その期間は数ヶ月から数年と個人差があります。
それぞれの段階に適した治療法を選択することで、痛みを軽減し、関節の機能回復を促すことができます。
医療機関では、消炎鎮痛剤や注射による薬物療法、理学療法士によるリハビリテーションなど、患者さんの状態に合わせた治療を提供しています。
症状が改善しない場合は、肩関節鏡視下手術などの外科的治療も選択肢となります。
また、自宅でのケアも重要です。
無理に肩を動かしたり、重い物を持ち上げたりするなどのNG行為は避け、医師や理学療法士の指示に従って適切な運動やストレッチを行いましょう。
また、激しい痛みや腫れ、しびれなどの症状が現れた場合は、速やかに医療機関を受診することが大切です。
四十肩は適切な治療とケアによって十分に改善できる疾患です。
早期に医療機関を受診し、専門家の指導のもとで治療に取り組むことで、日常生活への早期復帰を目指しましょう。
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