エクソソームの権威と対談!ひざ再生医療の最新情報を公開
皆さんこんにちは。
医師 医学博士 整形外科専門医 東京神田整形外科クリニック院長 田邊です。
本記事では、田邊院長と、救命救急およびスポーツ医学の専門家である陰山先生との対談を通じて、エクソソームに関する最新の研究と医療分野での応用について掘り下げています。
エクソソームの基本的な説明から、医療への応用、さらには治療における具体的な効果や将来性について、専門家の視点から詳細に解説しています。
【目次】
当院では膝の再生医療治療に力を入れております。
少しでもご興味を持たれた方は、当院の再生医療治療ページをご覧になってみてください。
東京神田整形外科クリニック
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陰山先生紹介
田邊院長
本日はスペシャルゲストをお呼びしました。
高輪アイランドクリニック 影山康成先生です。
写真1
もしかしたら見たことある方もいらっしゃるかもしれませんね。
最近「ホンマでっか!?TV」に出演された陰山先生です。
簡単に自己紹介お願いします。
陰山先生
よろしくお願いします。
私の専門は救命救急なのですが、4年間ですがスポーツ医学、膝専門で整形外科もやっておりました。
その後は基礎医学に回り、岐阜大学での研究テーマは「分子生命科学」です。
その中でゲノムの解析などを行い、エクソソーム細胞外小胞体の研究を始めたんです。
今は東京大学の中に1つ教室がありましてそちらでエクソソームの研究を続けております。
エクソソームというのは細胞外小胞体と言い、細胞を持っている存在から出てくる小さな袋です。
色々な種類の袋が出てくるのですが、その中でも一番小さい袋、これがエクソソームです。
大きさにすると30〜150nmの10−9の世界です。
この中には体にとてもいいものやとても悪いものがあります。
例えば癌の細胞からはガンエクソソームが出ています。
エクソソームと言うと化粧品の影響で体に良いイメージがありますが、実は良いものばかりでなく、悪いものも含まれています。
エクソソームについて
田邊院長
私のYouTubeでもお伝えしている通りですが、エクソソームは変形性膝関節症や半月板損傷などの膝の疾患に対してとても良いということがわかっています。
当院では既に投与をしており、実際に効果が出ています。
エクソソームは先ほどお話がありましたが良いのと悪いのがあるんですか?
陰山先生
そうです。
エクソソームは袋の中に液状成分が入っています。
その中にタンパク質や低分子化合物、マイクロRNA(情報メッセージ)という遺伝子があります。
エクソソームは組織・細胞・臓器間の情報伝達屋のような役割を担っています。
特に生まれたての赤ちゃんから取れた臍帯に入ってる幹細胞を培養した時に出てくるエクソソームは体にとって非常に良い情報メッセージが入ってるのです。
「若返りなさい」という情報のみですので、癌になりかけてる細胞に対して「修正して元に戻りなさい」という情報を出しています。
まさにお宝の山です。
植物由来のエクソソームの可能性
田邊院長
エクソソームは幹細胞からも取れますが、他の細胞からも取れるということですよね?
陰山先生
我々が今1番研究しているのは植物のエクソソームです。
特に宮古島産の生姜や月桃、アロエといった植物の細胞から出てくるエクソソームを人体に応用すると、人の幹細胞と違って培養する必要がないのです。
原価が1/1000ぐらいで済みます。
治療費も相応の安さになるので食物エクソソームには夢があるということです。
脂肪由来エクソソームの問題点
田邊院長
例えば脂肪由来のエクソソームはそういった見解はございますか?
陰山先生
脂肪由来というのは他人の脂肪細胞から取れたエクソソームを使います。
ではそれを誰から取ったのか?
残念ながら日本に入ってきているものは海外製の脂肪エクソソームが多いです。
出元の人物が特定されていないということと一応バクテリアウイルスや感染症がないというのは証明されてます。
けれども実際のエクソソームの中に入っている情報メッセージが遺伝子レベルでどのような働きをしてるか全部解析されているものを見たことないんです。
ですから歳を取った方から取った脂肪の幹細胞から出てくるエクソソームは相応の老化因子がたくさん入ってるんですね。
なので歳を取った方から取った脂肪由来のエクソソームは逆に老化してしまう可能性もある訳です。
田邊院長
なので脂肪幹細胞培養治療はもしかすると時代遅れな治療になってきているような気もしています。
脂肪幹細胞培養治療は100万〜200万円かかりますので十分検討した方が良いと思います。
エクソソームのエビデンス
田邊院長
先生はエクソソームを色んな形で内臓疾患やアンチエイジングなど色んな方面で使ってらっしゃいます。
当院では膝に特化して使っているのですが、膝に関しての情報やエビデンスはありますか?
陰山先生
色んな細胞由来のエクソソームがありますが、特に幹細胞由来のエクソソームの論文は多いです。
脂肪由来も沢山出てますし、臍帯由来の幹細胞エクソソームに関しても相当な論文の数が出ています。
先月の時点で300本を超えています。
他の細胞由来の幹細胞エクソソームよりも数が多いです。
かつ大きいのは人の臨床の論文が出ていることです。
人に使ってみてどうなのか?
ネズミと人間では結果がだいぶ違うことが多いですからその中でも1番臨床上言われてるのが骨・軟骨・靭帯の再生能力なんですね。
創傷治癒と言って、人体が怪我をした時に元に戻す能力が非常に高いということが証明されています。
ネズミや試験菅の実験から言うと治りを半減以下にしてくれる可能性があります。
我々も臨床で使っておりますが、論文通りの結果が出ていると思います。
研究と治療効果
田邊院長
ここからは専門的な話になりますが、いわゆる従来型の再生治療でエクソソーム以外のものもある程度効果があることは既に実証されてると思います。
エクソソームとエクソソーム以外のものの両方でコンビネーションしていくことが今後重要になってくるのではないかと思うのですが先生はどのようにお考えですか?
陰山先生
その辺はまだ分かってないところです。
例えば従来のヒアルロン酸やPRP療法と臍帯の幹細胞エクソソームのどちらの治りが早いかというエビデンスは今のところないです。
ただ個人的な感触としてはウォートンジェリーは治りがいいと思います。
あとは基礎実験の中でパラバイオーシスというものがあります。
生まれたてのネズミと2年半の老マウスの動脈と静脈をくっつけて、その状態で2ヶ月間生活させてまた切り離すんですね。
そうすると、死にかけていた老ネズミが人間の寿命に換算すると20年ぐらい平均して長生きします。
若いネズミが歳を取っているネズミだとそれは起こりません。
臍帯から取ったエクソソームには若返りの因子があることは間違いありません。
自分自身のPRPも他人の脂肪もだいぶ歳を取っていますので、そちらよりも効能効果が強いとイメージしています。
田邊院長
とても参考になります。
先生のエクソソームの特徴的な治療経験などがあれば共有していただきたいです。
陰山先生
膝の靭帯損傷に対しての患者さんとして結構有名なアスリートの方が多いんですよ。
例えば、西武ライオンズの一軍の投手陣やサッカー界で有名になった方で、大学2年生の時からケアさせていただいています。
靭帯の損傷があったりするとこのようなケアを受けていただきます。
治りがとても早いと言われます。
具体的な数字は一般の方ですので分からないと思います。
あとは大相撲の力士です。
彼らも手術をすると一気に地位が落ちてしまうので、軽く靭帯が損傷した状態であれば保存的な治療として再生医療を受けています。
治療を受け始めて、翌場所に普通に登場しています。
現役の力士さんで、優勝まではいかなかったのですけど、調子が良くて準優勝まで行ったということもありました。
特にスポーツ外傷には臍帯由来のエクソソームは非常に有効であると個人的に思っております。
エクソソームは量?質?
田邊院長
エクソソームも投与する数があると思うんですが、どれくらいの投与が良いのでしょうか?
陰山先生
臨床治験取りが世界的に始まっていて二相までは色々な種類の幹細胞エクソソームの基礎臨床実験が始まっています。
そこで使われている標準の数があるので我々もそれを模倣して治療を進めています。
多ければ多いほど良いということは全くありません。
適正な濃度や数があるということと体重や性差によっても違います。
何よりも大事なのはエクソソームは数が少なくても質が良いとかなり効果が高いことです。
さらに専門的にはなりますが、NGS解析というのをやって一つひとつの遺伝子の効能効果が分かっています。
それを全部コンピューターシュミュレーションすると今回使う臍帯の幹細胞エクソソームはどんな働きがあるのか分かります。
数に関してもある程度は分かっていますがそれよりも質の方がずっと大事だということを強調したいです。
田邊院長
エクソソームの質を評価することはできますか?
陰山先生
MISEVという国際的なエクソソームの研究学会があります。
エクソソームと称したいのであれば最低限重視しないといけないMISEV2018という5年前の規定があります。
表1
日本はもう間もなく規制がかかってくると思いますが今はまだ完全に無法状態です。
ですので、エクソソームと言えば体にいいものという誤解や基準に乗っ取って作られているのか、でたらめなエクソソームなのか全然わからないという残念な状況にあります。
エクソソームと言われる治療を受ける場合は、基準を満たしているか確認することが非常に大切です。
まとめ
田邊院長
エクソソームは膝の再生医療の領域だとまだ発展していませんが、今後粗悪な製剤も出てくることもあると思いますので注意いただきたいと思います。
陰山先生
MISEV2018基準でやろうと思うと大学の研究機関と組んでないと無理なんです。
一般の開業医レベルでは絶対無理です。
大変失礼ながら美容皮膚科や外科でも無理なんですよね。
なので正しいエクソソームを正しく使う医師が増えることを期待しております。
田邊院長
ということで今日はエクソソーム専門家の陰山先生に来て頂きました。
どうもありがとうございました。
これからも膝に関する情報を一生懸命配信していきますので、膝痛開放ブログのチェックをお願いいたします。
膝専門YouTubeチャンネルでも配信していますので、ぜひチャンネル登録もよろしくお願いいたします。
質問がある方は、コメント欄よりメッセージをください。
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